櫻葉・相櫻小説ですハートグリーンハート

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大丈夫な方、お付き合い頂けたら嬉しいですルンルン

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暫くして、あまりに父親の部屋から戻らない俺を心配して、姉ちゃんが俺を呼びに来た。

「潤?大丈夫??本、見つからないの?姉ちゃんも一緒に探すの手伝おうか??」

今、俺は姉ちゃんの顔も翔くんの顔もまともに見ることが出来ない…
そんな思いから、姉ちゃんに嘘をついた。

「姉ちゃん、悪いんだけど、なんか急に頭痛くってさ…申し訳ないんだけど、今日は翔くんに帰ってもらうように伝えてくれる??父さんの本は今度一緒に見よって伝えて…」

「え?頭痛いの??大丈夫??」

「大丈夫!!悪いんだけど、ベッドで横になりたいからさ…翔くんが部屋にいると、身体休められないし…ホントごめん…」

「分かった…翔くんにはそう伝えてくるね…すぐにベッドに横になりなさいよ!」

「うん、分かった。ありがとう…」

暫くしてドアがパタンと閉まる音がし、階段を下りる2人の足音が段々小さくなっていくのが聞こえた…。
足音と比例して、翔くんが俺からどんどん遠くに行ってしまうのを感じ、俺の頬にはまた熱いものが流れ続けた。

玄関のドアの扉が閉まる音が聞こえたが、姉ちゃんが階段を上ってくる音は一向に聞こえなかった…。
姉ちゃん…きっと駅まで送りに行ったんだ…。
そんな事を考えたら、また涙が止まらなくなり、俺は急いで自分の部屋に戻った。
部屋に入ると、ほんのりと翔くんの香水だろうか…いつもの翔くんの香りが残っていた。
俺は翔くんが使っていたクッションを胸に抱き、ベッドに潜り込んだ。
頭まで、すっぽりと布団を被り、ベッドに持ち込んだクッションを抱きしめ、声を殺して泣いた。

暫くしてドアをノックする音が聞こえた。
きっと、姉ちゃんだ…。
俺は泣いているのがバレるのが嫌だったので、寝たフリをし、返事はしなかった。

「潤?大丈夫??薬とゼリー飲料買ってきたから…中、入るよ?」

カチャッと音がして、扉がゆっくりと開く音がした。
俺は寝たフリをして、身体を微動だにせず、ベッドの中で息を潜めた。

「薬、ここに置いとくね…何かあったら、連絡しなさいね…」

そう声をかけると、姉ちゃんは静かに部屋を出ていった…。

翔くんを駅まで送っていったのかと思ったら、そうではなかった…。
姉ちゃんは俺を心配して、薬とゼリー飲料をわざわざ買いに行ってくれたのだった。
姉ちゃんを疑ってしまったことに、申し訳ない気持ちを感じながらも、2人がそういう関係なのだということへのショックは拭い去ることは出来なかった。

そしてその衝撃の現場を見てから数日後、翔くんから姉ちゃんと付き合う事になったという報告を受けた。
翔くんは少し照れながら、でもとても幸せそうな笑顔で俺に報告をした。
その笑顔を見た瞬間、俺は自分の翔くんに対するこの想いに蓋をしなければいけないんだと気付かされ、そこからは2人の邪魔にならないよう、少し距離を取るようになった。
翔くんは、今まで通りを求めたが、俺には2人を心から祝福できるほどの心の広さは持ち合わせていなかった。

そこから数年経ち、姉ちゃんと翔くんは晴れて夫婦となった。
結婚式には、もちろん出席し、貼り付けた笑顔でお祝いの言葉を伝えた。

しかし女々しい俺は、2人の幸せを心から願うことは出来ず、そんな時、職場から「海外で力を試してみないか?」という言葉に二つ返事で引き受けた。

そして、海外でストイックに仕事をこなし、何とか翔くんへの思いも薄らいできた頃に、姉ちゃんの事故の連絡が入ったのだった。


つづく


潤くんの翔くんへの想い…辛いよねえーん
お姉ちゃんの優しさも辛いし、翔くんの嬉しそうな笑顔も辛かったよね…泣くうさぎ
そして、どんな想いで式に出席したのだろう…誰が悪い訳でもない…だけど、潤くんの想いを知ると、やはり切ないですよね泣