前回までのあらすじ



付き合って2回目のデート。


この日は銀座をぶらぶらした。

トリーバーチの店舗を見た時に、不意にトリーバーチのリングを狙っていたことを思い出して彼に付き合って貰った。

「何欲しいの?」
「指輪」
「指何号?」
「7号なんだけど、ネットで見たらトリーバーチはUSサイズで表記されてて、日本の7号がUSの何号か分からないんだよね。だから実物を見たくて」

そう話しながら店内に入ると、店員さんが「何かお探しですか?」と声をかけてきた。
「指輪を見たいんです」
そう言うとジュエリーのコーナーへ案内してくれた。
「あ、これです。トリーバーチのサイズって日本のサイズと違うじゃないですか。だから実際につけてどれが合うか試したいんです」
「そうですね、トリーバーチはUSサイズで展開していますので、日本のサイズで買うと大き過ぎてしまいます。普段日本サイズは何号ですか?」
「7号です」
「今あるもので一番小さいものをお持ちしますね。7号相当のものがあるかは分からないのですが」
「もしなくても気にしないので大丈夫です」
しばらくすると店員さんはバックヤードからリングを一つ持ってきてくれた。
「多分大きいかと思いますがお試しください」
見るからにでかいな。
でも薬指に着けてみる。
「ああ、ぶかぶかです」
「そうですよね。こちらトリーバーチの◯号(何号かは忘れた)で、これが当店にある最も小さいサイズです。よろしければ他店から別のサイズもお取り寄せしましょうか?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
さすがにそこまでしても欲しいものではなかったので断りをいれた。
店員さんに丁寧に見送られて我々は店を出た。
どうでもいい話だが、帰り際店の中で客らしい中年女性が理不尽なクレームを別の店員さんに繰り返しており、サービス業の厳しさを垣間見た気がした。

コスメだの服だのをあらかた見て、昼になった。

そろそろご飯にしようか、と彼が言う。
…店のあてはあるのか?
不安になって聞くと「◯◯デパートの上の方の階にいろんな飲食店入ってるんだけど、どう?」。
お、事前調査してある。
珍しい。
私がそこに行きたいと言うと彼はスマホの地図アプリを開いた。
彼は地図が読める人で、(まあ、地図が読めるのは普通の人にはすごくないかも知れないが全く地図が理解出来ない私はいつも彼が道を間違わずに目的地に連れていってくれるのを、魔法使いでも見るかのような気分で見ていた)目的のデパートにはすぐに着いた。
最上階にレストランが集まっていて、どの店に入るか迷った揚句、我々は天丼屋に入った。
天丼は4000円くらいしたが当然彼がご馳走してくれた。

さあ、このあとどこ行こう。
我々はデパートをあとにした