オバマ怒りの演説全訳と銃規制 | スクラップブック

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米オレゴン州ローズバーグのアンプクア・コミュニティ・カレッジで10月1日、銃連射事件があり、9人が死亡、7人が負傷しました。
容疑者は頑丈なアーマーを着けていたようですが警察に射殺されています。
これは2015における、45番目の学内発砲事件となりました。


◆オバマと銃規制
オバマ大統領は歴史上最も銃規制に熱心な大統領だと言われています。

任期がもうすぐ切れることもあり、オバマ大統領は温暖化対策、キューバ国交など、
誰もが手をつけることが出来なかった案件をしがらみを無視し、強引に進めています。

しかし、銃規制が進まない苛立ちを多くの場所で発言しながらも、
今年6月「全米ライフル協会の力があまりにも強すぎる」と半ばあきらめたかのような発言もしていました。


会員数400万人越え、活動資金も豊富でロビー活動に積極的な団体「全米ライフル協会」。
彼らの支持のおかげで議員になっているものも多く、いわゆるアンタッチャブルな存在です。


今回、この繰り返す銃乱射事件で、ついにオバマは怒りをあらわにスピーチしました。

「何回繰り返すんだこのルーチンを!
銃乱射が起きて、その度に、この壇上について、スピーチする。
そしてまた 銃乱射が起きる。」

「テロで無くなった人間と銃で殺された人間の数を比べてみてくれ。
それでも議会は銃による死者を減らす努力を妨害するのか!」


◆アメリカにおける銃犯罪
銃乱射事件が起きるたびに2つのニュースが伝えられます。

1.「アメリカ人は世界のたったの4.43%にすぎないが、銃を持つ民間人の半数はアメリカ人だ」という事実



2. 2015年, 274日間に294件の銃殺事件が起きているという事実
2015年はほぼ毎日銃乱射事件が起き、
400人が死んでいるそうです。
(射殺された犯人も含む)

けが人を含めると恐ろしい数字になるでしょう。

日曜日が多いことも話題になります。


◆簡単ではない銃規制
シカゴは1982年から拳銃所持が全面的に禁止されていました。
しかし、犯罪者達は守るわけなく他の土地で銃を手に入れシカゴで犯罪を起こし続け、
「殺人首都」と呼ばれたこともあります。
2010年銃の保持禁止は憲法違反とされ、所持を許可しました。
皮肉なことにシカゴでの犯罪は減りました。

つまり、一つの地区で禁止しても、なんの意味もなく、また、アメリカ中で禁止できたとしても、既にあまりにも多く出回っているため、今更犯罪抑止になるか?と疑問視もされています。


◆オバマのスピーチ
聞き取りに挑戦してみました。



新しい銃乱射事件がアメリカで起きました。
今回の場所はオレゴン州のコミュニティカレッジです。

それは、多くの家族の人生が変わってしまったということを意味します。
新たに悲しみに打ちひしがれている人達がいるということであり、
国中の人々が、心を痛めているということであり、
自分の家族や子供に同じことが起きないかと怯える親達がアメリカ中にいるという意味です。


私は銃撃現場のオレゴン州ローズバーグに行った事があります。
いい人達が住んでいます。

今日多くの命を守るため勇敢に対応してくれた人々に感謝したい。
事件対応に協力した連邦警察にはローズバーグが求める限り引き続き滞在させ協力させる。

数日以内に、被害者についてわかるだろう。将来を見据え、一生かけて実現したかった夢のために、学び努力してきた若い学生達のことを。
アメリカは悲しむ彼らに愛と祈りで抱きしめたい。...


... 私は 数ヶ月前も、その数ヶ月前も、銃乱射が起きる度に、この言葉を捧げた。
こんな言葉だけではダメなんだ。

私達の胸の痛み、悲しみ、怒りを表現するには不十分だ。
こんなのはまた、アメリカのどこかで起きるであろう虐殺に抗うために何もしてないって言うことだ。
来週、もしくは数ヶ月後にまた起きる


私達は何故彼がこんなことをしたかはまだ知らない。
何がそうさせたのか考えず、精神的な病気だったんだといっても間違いではないだろう。
だが、「誰かを傷つけたい」という願望を持つ精神病患者が住む国は世界でアメリカだけか?
世界の先進国で毎月、銃乱射事件が起きるのは世界でアメリカだけだ。


知ってるとおり、今年の初めに私はインタビューで
"先進国で唯一アメリカが十分な銃規制法を持たず、発砲事件を繰り返している”
と答えた。
その後、銃乱射事件が、ラファイエット,ルイジアナ、で起きた。

あの日!

何だか、お決まりのルーチンワークみたいじゃないか。
事件報告があって、この壇上に私が上がって...こんな風に事件について会話する。
これの繰り返し。

私達は麻痺してしまっているんだ。
私達はこんなことを繰り返している。
コロンバイン(1999年コロンバイン高校)、ブラックスバーグ(2007年 バージニア工科大学)の後も、ツーソン(2011年ショッピングモール)の後も 、ニュータウン(2012小学校)の後も、 オーロラ(2012年7月映画館)の後も、チャールストン(2015 6月 教会襲撃)の後も

「人を傷つけたい」人物が銃を簡単に手に出来てはならない。

銃規制法立法に反対する人々の反応も毎回お決まりだ。
どんな報道がされるか想像がつくよ。
「銃がもっと必要だ、銃規正法なんかいらない 」彼らは言うだろう。

そんなこと誰が信じると思う?
この国の正式な銃保持者は知っているよ。そんなのでたらめだと。
調査で私達アメリカ人の大半がこの銃に関する法律を変えるべきだ!と言っている。


アメリカには既に男性用、女性用、子供用の銃がある。
誰が「安全のためにはもっと銃が必要だ!」なんて言葉を真剣な顔して言えるんだ!?

私達は、銃規制は銃による死者を減らすってことを知っている。
「銃規制は役立たず、もしくは、善良市民の銃入手が難しくなるだけで、犯罪者は今までどおり銃を持つ。」なんて概念は証明されていない!


私達は、他の国で、銃乱射事件が起きたら、発砲事件を無くすための法律が作られてきたことを知っている。
我々の友人 イギリス、オーストラリア、我々のように銃を持っていた国だ。
(**オーストラリアは 1996年のポートアーサー銃乱射事件の後、銃規制を始め、成功している)
我々はいかに対応するべきかも知っているんだ。


ま、これも、いつもの繰り返しで、誰かが報道するんだ。「オバマ銃規制を政治問題化」

確かに、これは我々が政治的に取り扱う問題だね。
私達全員の暮らしに、国家に関わることだからね。

報道関係者にお願いがあるんだけど、この10年間のテロで殺されたアメリカ人の数と、銃犯罪で殺された人間の数を調べて この報道するときは表示して欲しいんだ。
これは私からの情報ではなくて、君達からの情報として報道してくれ。


私達はテロ対策に1兆ドル(約120兆円)以上を費やし、無数の法律を通した。
しかしながら、国会はあきらかに、銃規制がいかに有効か?というデータを集めることさえ、妨害している。

何でだ??

この数ヶ月間にアメリカで起きたことは我々の政治的判断の結果だ。
「愛する人々を失くした方達に、まとめると、我々が何もしなかったからこうなった。」と答えることになる。

鉱山災害で人が亡くなったときとき、鉱山を安全にするため、アメリカは努力した。
ハリケーンや洪水で死者がでたら、アメリカはより安全なシステムを作る。
道が悪ければ安全のために直す。
命のために、シートベルトをする!

銃犯罪だけが違う。
なぜか、我々の自由と憲法が危険な道具を使う近代的なルールを禁止するのだ。
法の下、狩りを楽しむため、家族を守るため、アメリカのどこでも銃を持つことができる。

ばからしい!

今夜、子供達を抱きしめることが出来る人々は、不運だった人々のことを考えるだろう。
アメリカ人に考えてもらいたい。
どうやったら政府にこの法律を変えさせられるかを?
政府に命を救わせられるかを。
子供たちを育てさせられるかを。

この件は政治の変化が求められている。
この件はアメリカ人に、あなたが民主党員であれ、共和党員であれ、無所属であれ、罪もない人達の相次ぐ死の原因が銃であるかどうかの判断を求められている。


この問題について考えるとき、あなたが選んだ政治家があなたの意見に沿って動くと期待してください。
特に今アメリカで銃を持っている人々に、所持を許可され、安全に、狩りに使っている人、スポーツに使っている人、家族を守るために使っている人達に、私は考えて欲しい。
あなたの考えを正しく協会が代弁してくれていますか?


連続射殺事件が起きる度に、私はこの話をする。
起きる度に、何かしようとする。
でも法を変える必要があることに毎回なる。

これは私だけ出来ることではない。

私と共にこの問題に取り組みたいと思う議会,州議会、政治家達が必要だ。


私は望み、祈る。
私の在任中に2度とこのような事件で家族に哀悼を捧げる必要がないことを。
だが、私の経験上、それは難しいだろう。
こんなことは言いたくないのだけれど。。。

変えることはできるんだ。


今日亡くなった方たちに神のご加護を。
彼らの家族に安らぎを。
戦って傷ついた方々に勇気を


◆感想
実はシカゴの件をNewsで知って、もうとき既に遅しで、
アメリカでは「銃規制で逆に犯罪が増える」という話を信じていました。

しかし、今回のオバマさんのスピーチ、また例として上げられていたオーストラリアの件を調べると、可能なのかもしれないな?と考え直しました。

2002年の映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」で銃乱射事件の原因であると全米ライフル協会にインタビューしていた、マイケル・ムーアはこうツイートしていました。

「驚くべき事件だなんて報道するな!ニュースなんかじゃない。これがアメリカの日常じゃないか! 学内の銃乱射事件なんて今年だけでも45件めだ。」




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