三次創作小話「忘羨その後」(7-3)




医師は、「過労です。心労と体力の低下です。睡眠や食事はきちんととれていたでしょうか?」


ウェイインもランジャンも沢蕪君も、なぜ、こうなるまで気づかなかったのかと、自分を責めている。


ジンイーが、隅の方で、静かに泣いている。

「私が一番そばにいたのに、もっと気遣うべきでした。申し訳ありません」


「君の責任ではない。私たちが彼に負担をかけてしまっていた」

と目を伏せたランジャン。


ウェイインはスージュイの手をずっと握り締め、霊力を注ぎ続けている。


一晩中、かわるがわる霊力を送り込み、やがて、空が白み始めた頃、スージュイの手がウェイインの手を握り返した。


「スージュイ、目を覚まして」

ウェイインが呼びかけると、ようやく、目を開けた。


のぞき込む四人の顔を見て、スージュイは恥ずかしさに、天井へ視線を移した。

「私はどうして、ここに?」


ひと安心した三人は、ジンイーに任せて自室へ戻って行った。



「少し元気になったら、説教してやらなくちゃ」というウェイインを愛おしそうに見つめているランジャン。


蔵書閣の前で、「俺は少し寝てくるよ」


ウェイインの尻を眺めつつ、(やはり朝やっておくべきだったな)つい浮かんだ妄想に、

ランジャンは(なんと不謹慎な)抹額に触れ、家規を唱えた。


(さて、溜まった仕事を片付けなくては、)

遠くの山の方から、蝉時雨がかすかに聞こえている。はっと目を開ける。


肩肘をつき、頭を乗せて、うとうとしていたようだ。伸びをすると、くすっと笑い声が、、、


声の方を向くと、ウェイインがにこにこして、

「寝ようとしたんだけど、お前が隣にいないと眠れないんだ。」 


そう言うと、ランジャンの膝に頭を乗せて寝ようとしている。


「修練は?」

「今日は休みにしてもらった。起きたら、お前を手伝うからさ、お前も仮眠をとれよ」


ランジャンはウェイインの髪を撫で付けていたが、すぐに、机に頭を乗せて、深く寝込んでしまった。


朝食を終えた子弟たちが、それぞれの役目につこうとしている。


数名の子弟が蔵書閣の入り口で中を窺って、入るのをためらっていた。


二大巨師が仲良く眠る姿に、

「しいーっ」と言いながら、音を立てないように、仕事を始めた。

床が、みしっというものなら、また、皆で「しいー」



やがて、昼食の時間になり、子弟たちは囁き始めた。

自分たちだけ昼食に行っていいものか、さもなくば、誰があの二人を起こすか、で揉めている。


そこに、沢蕪君がひょっこり顔を出した。

スージュイの務めの分担を話し合おうとやって来た。


ほっとした子弟たちは「はあ、気疲れした」などと言いながら、出て行った。

つづく






譲ります。割り込みなんてしない。

こういうイーボーくんが、カッコいい合格