三次創作小話「忘羨その後」(6-1)




(5-13)の続編です。


新緑が、朝の清々しさを連れて来ます。


優しい木々のざわめきが心地よく聞こえて、

春告鳥のたどたどしい鳴き声に、つい笑みがこぼれます。



一年前、暁シンが正式な藍氏子弟になり、

今日は、暁チェンが同じように子弟になるため、転居の準備をしている。


明日には、雲深不知処内の子弟の寄宿舎に移らなければならない。



翌朝、暁チェンが正座をして、

「お世話になりました」

とウェイイン、ランジャンに挨拶をした。


真っ直ぐに見つめる大きな瞳が、二人には眩しい。


その額にある真っ白な抹額と純白の校服が、身も心も引き締めさせているようだ。


ウェイインは無言で、暁チェンを抱きしめ、その抱きしめる腕に愛しさを込める。


ランジャンは、二人ごと抱きしめた。

お互いの呼吸や、手の温もりが、離れ難くさせる。


「遅れないように行きなさい」

ランジャンの声で、三人は、体を離し、


「では、行って来ます」

暁チェンは、すっといなくなった。


先ほどの鳥が一声鳴いて、飛び立って行った。


「あの春告鳥も、やがて、流暢に歌えるようになる」


ウェイインは涙目をこすって、

「楽しみだな」ランジャンに微笑んだ。



二人は、手を繋いで蔵書閣へ。


座学の準備が、山場を迎え、ある種の緊張感がある。

ランジャンは公務を、ウェイインは教材作りを始めた。


すると、ウェイインの声が、その静けさの中で、徐々に耳に触るようになり、


「……最終決定だ。お前とわかれ…」の部分がはっきり聞こえた。


一斉に振り向くと、ウェイインは何かの紙を指差し、ランジャンはそれを見つめている。


子弟たちは、含光君の無表情を見て、顔を見合わせる。

(まさか、そんな事、あり得ない)

何事もなかった様に、教材の書写に戻る。


ウェイインは厳しい表情で出て行った。

つづく





 

公式さんの「生日快楽」動画です。

「殿下、お手をどうぞ」

と言っているのでしょうか。






 美しさは変わらない、出会いは初対面のようなもの。

銀河は常に明るく、毎年一緒にいられますように。

謝憐の誕生日のお祝い動画公開、

祝、謝憐7月15日誕生日おめでとう!