三次創作小話「忘羨その後」(5-4)




〜〜〜〜〜〜〜〜

「悪をくじき、弱き者を救う」と天に誓った。

俺は、正しいと思う己の心に従ったんだ。


ランジャンはそれを理解しても、俺を行かせまいとしていた。

辛い気持ちは十分すぎるほど、分かっていた。


俺たちは、泣き濡れながら、違う道を選んだんだ。



乱葬崗に住み着いて、貧しいが、穏やかに過ごしていた。


ランジャンは、手紙をよこしたり、訪ねてくれたりした。


ランジャンの手をとって逃げ出せたらと、これっぽっちも思わなかった、と言えば嘘になる。


でも、家族のように共に生きる人たちを捨てて行くなんてできない。


いくら険しくても、自分が選んだ道だ。



その後、さらに、辛いことが起こるんだ。


師姉の夫であり、次期宗主である金ズーシュエンを、俺と温ニンで殺してしまった。


俺と暮らした温氏一族は、皆殺しにされた。


そして、誰もが俺を倒し、俺から陰虎符を取り上げようとした。


その時もランジャンは俺を止めようと、俺に挑んできた。


その戦いのさなか、最愛の師姉が死んでしまった。


何のために生きて、何のために戦っているんだ!

守るべき人も、戦う道理ももうないのに。


俺にはもう、生きる気力も、意味もなくなった。


ランジャンの手を振り払って、崖下に落ち、死んだんだ。



俺は、金丹を失った後は、ランジャンを遠ざけた。


霊力を失い、仙師ではない俺は、ランジャンとは生きる世界が違ってしまった。


ランジャンは、いつも心配してくれていた。

冷たくあしらう俺を。


なんとか、自分と同じ道へ、陽の当たる道へ、俺を戻したいと願っていた。


でも、最後まで、俺の側(がわ)にはついてくれなかった。

俺と共に戦うことはなかったんだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜


また、座学生たちを近くに集めて、


「この頃、ランジャンは俺に襲いかかりたい衝動を堪えていたんだ。初口づけも…」


ランジャンが近づいて来て、

「くだらん事を吹き込むな」

ウェイインの手首を掴んで、さっさと出て行った。

つづく





 

最後にうなずき合うのがいいのです。