三次創作小話「忘羨その後」(4-12)
ウェイインは、ランジャンが「仙督を辞める」と言わなくなったので、それについて蒸し返すことはしていない。
座学が始まって、一ヶ月ほど過ぎて、聶ホアイサンがふらっとやって来た。
ウェイインに、「忙しいだろうから、手が空くまで待ってるよ」
と言って、座学を視察している。
ウェイインが昼食に誘い、静室で二人になる。
「子ども達は?」
「講義の時は、沢蕪君が見てくれてる」
「含光君は、来ないのかい?」
「その方がいいんだろう?で、話って?」
「実は、言いにくいんだが、
含光君が、南氏の門派ともめた話は聞いてるかい?」
「いや」ウェイインが首を横に振った。
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まあ、かいつまんで話すと、
扶氏の門派と南氏の門派は、先代の頃から、犬猿の仲だった。
一ヶ月位前に、仙督に仲裁を頼みに来ただろう?
その時の原因が、両家の息子たちなんだ。
そのぉ、ウェイ兄たちと同じで、要は運命の人だった訳だ。
どっちの親も、敵の子どもを受け入れるはずないよな。
おまけに、そのぉ、男同士だから、余計に大騒ぎになってさ。
でさ、南氏宗主が「気持ちが悪い。おぞましい。むしずが走る」なんて悪口雑言を言ったんだ。
含光君は、そりゃ激怒するに決まってるよ。
元々、南ファンはうちの外弟子なんだ。
そのもめ事の後、うちで匿っていたんだが、
相手の扶ヤオも、逃げて来て、
今一緒にいる。ここに。二人とも。
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「ここに、いるって?
ああ、お前のとこの座学生に混ざっているのか。」
「怒らないでくれ、黙っていようかと思ったんだが、なぜか、南ファンの親父にばれて。
いつ怒鳴り込んで来るかも分からないから、一応、警告に来た…」
聶ホアイサンの顔にさっと恐怖が浮かんだ。
ウェイインが振り返ると、ランジャンが立っていた。
「じゃ、これで失礼するよ」
聶ホアイサンは逃げ出した。
ランジャンがウェイインの目の前にどさっとすわって、「なぜ、言わなかったと責めるだろう、君は」
(俺を傷つけたくないからだよな、、、でも)
ふうっとため息をついて、
「俺はどんなことでも、お前に知ってほしいし、お前のことも全部知りたい。それが道侶だろ?」
「悪かった。ずっと、胸につかえていた。もう、二度としない。」
「よろしい、いい子だ。」
ランジャンの顔を両手で挟み、軽く口づけして離れようとしたら、
後ろ首を掴まれ、濃厚な口づけをされて、
(とろけそうだ…)押し倒される。
「まだ、昼だぞ」
「一回だけ」
「午後からも講義が…」
つづく
そうなんです、謙虚で正直なんです!