三次創作小話「忘羨その後」(4-13)




二人で蘭室に入って行くと、なぜか、ざわつき出す。


子弟が慌てて「部屋の外へ、お願いします」と言う。


「か、髪と、こ、衣が、直された方が…」

と言って、逃げて行った。


お互いの髪を整え、衣の乱れを直して、最後に抹額を真っ直ぐにして、何もなかったように、堂々と部屋に入って行く。


すると、ウェイインが、

「午後の講義が終わったら、特別講義をする。

受けたいものだけ、残ってくれ」


「南ファンと扶ヤオは、必ず残るように」

「ウェイ老師、なんの講義ですか」


「愛だ」ランジャンが一言。

ヒューと誰かが口笛を吹いた。


「では、今日は邪祟の四限目だな。」

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それでは、愛についての講義を始める。


えー、君たちは、俺と含光君がどういう関係か、知っていると思う。


その事について、嫌悪感を感じている者はいるか?

いないようだな。


(まあ、そう思っていたら、ここには来ることはないか)


では、不可解だとか、異質だとか、奇妙だとか思う者はいるか?


正直でいいぞ。多少はいるんだな。


では、君たちに少しでも理解してもらえる様に、俺たちの恋愛話を聞かせたいと思う。


聞きたい者だけ残ってくれ。

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・・・誰一人、身動き一つしない。

ウェイインは、まばたきを繰り返している。

(緊張するなあ)


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俺とランジャンが出会ったのは、俺が十五の時、座学生として、ここに来た時だ。


みんな、知っての通り、藍氏には三千条の家規がある。

今は四千条か、増えたのは、俺のせいだったかな。


俺は、その頃、前途有望、仙師界の星だった。


(ランジャンの視線を感じて)もちろん、沢蕪君と含光君は巨星だったが。


俺は自分の才能に驕っていて、家規を破りまくっていた。


不遜な態度で、藍じじい、いや、藍先生には目の敵にされて、ランジャンが俺の監視役になった。


蔵書閣で二人きりで、ずっと閉じこもっていた。

いやらしい意味ではないぞ。


その頃、こいつは(また睨まれた)

あー、含光君は、がちがちの堅物で、俺に罰を受けさせる事しか考えてなかった。


罰というのは、家規の書写なんだが、もう、退屈で退屈で、死にそうだった。


で、ランジャンをからかって楽しんでた。

つづく



*南ファンと扶ヤオの名は、天官賜福から、お借りしました。






美しい手!