三次創作小話「忘羨その後」(4-1)





(3-16)の続編です。


今日は四人で手を繋いで、雲夢の街を闊歩している。

ウェイイン、暁シン、暁チェン、ランジャンの順に。


「この街も、ますます繁栄してるようだ」

「江宗主の功績だな」


街の人々が、笑顔で声をかけたり、手を振ってくれたり。


ウェイインにとっては、何年経っても、温もりのある居心地のいい場所だ。


突然、背後から「ワン」と犬の声がしたと同時に、ウェイインが暁シンの小さな背中に隠れようとする。


どんなに小さく丸まっても、隠れきれていない。


「綱で繋いであるから大丈夫だ」金リンだ。

見ると五匹も連れている。かわいい仔犬だ。


ウェイインがあわあわと口を震わせ、今にも失神しそうだ。


暁シンと暁チェンは夢中になって、仔犬とじゃれあっている。


ウェイインはランジャンの背中に隠れ、ランジャンの肩を痛いほど強くつかんでいる。


「なんで、犬なんか連れてるんだ」

「赤子への贈り物だ。代々霊力の高い霊犬だぞ」

「分かったから、早く連れて行け」


金リンはいつもの様に顎をつんと上げて、生意気な顔で「行くぞ」と綱を引っ張った。


ランジャンに軽く頭を下げて、追い抜いていった。


金リンの後ろに娘がいるのが見えた。

にこっと微笑んで、頭を下げた。


「まるで、ぱっと花が咲いたようだ。

例えるなら、シャクヤクの花だな」


ウェイインが見つめていると、ランジャンに耳を引っ張られた。


見えなくなる間際に、二人が手を繋ぎ合うのが見えた。


「一体、誰だ?」ウェイインとランジャンは顔を見合わせた。



ウェイイン一行が蓮花塢に到着した。

すでに大勢の人でごった返している。


きょろきょろ見回していると、

「ウェイの若君」と叫ぶ女人の声がする。


目を凝らすと、温チンの母、スーチンだ。

手を高く上げて、一生懸命に振っている。


その隣で、温ニンが胸の前で小さく手を振っている。


スーチンが、温チンの所まで案内してくれた。


「宗主を呼んできて下さい」と子妹に言い、

「今日はありがとうございます」と柔らかく微笑んだ温チン。


「お祝い申し上げます」

「本当にめでたい。ジャンチョンの快挙だな」


その腕の中の赤子に、目が釘付けた。

暁シンと暁チェンは、きらきらした瞳で興味津々。


「本当にかわいいなあ。ジャンチョンに似なくてよかった」


「なんだって?」ジャンチョンがいつもの渋い顔で入って来る。


そそくさとランジャンに拱手を済ませて、

ウェイインの隣に立つと、もう赤子から目が離せない。


「眉間に縦じわが入ってなくて、よかったってことさ」

ジャンチョンはウェイインを肘で突いた。


「これは、俺から赤子への贈り物だ。

邪除けの腕輪、うんと念を入れといたから」


ジャンチョンは「おう」と言って、笑顔で受け取った。

「赤子の字名は考えてくれたか?」


「ああ」と言って、巻物をジャンチョンに手渡した。それを広げて「ありがとう。今日お披露目しよう」


祝宴が始まった。


聶ホアイサンがこちらに合図している。

片手を上げて応えた。


暁シンと暁チェンは、ご馳走をたらふく食べると、眠くなったようだ。


後ろの席のスージュイに、一言告げて退席した。

幼子を一人ずつ抱いて、御剣で飛んで行く。


突然、目の前のランジャンが急にぐらりと傾い(かしい)だ。

つづく






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