三次創作小話「忘羨その後」(3-8)




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「ランジャン、できたぞ。

怒った顔、しょんぼりした顔、拗ねた顔、微笑んでる顔、泣いている顔、どれもいいだろう?」


ウェイインがランジャンを見ると「うん」と微笑んでくれる。


「君の描いた絵はどれも素晴らしいよ」


ウェイインは絵を見ながら、

「模特児(モデル)がいいからな。

ランジャンはどこをとっても美しいよ。

ほら、この横顔なんて、」


目を上げると、ランジャンの姿がない。

「ランジャン!」大声で呼ぶ。

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はっと目を覚ましたウェイイン。「夢か‥」

隣にランジャンを見て、その頬に触れてみる。


すると、ひそひそと低い声が聞こえる。


聶宗主が申し訳ないと、平身低頭している。

涙ぐんで、

「説得できなかった。

子どもたちが家に帰る事を怖がっているんだ。とても無理強いはできなかった」


(それはそうだろう。両親が惨殺された家だ。

二度と近付きたくないのは痛いほど分かる)


「俺が会ってみよう」ウェイインが言うと、

沢蕪君が「私も一緒について行きましょう」

ウェイイン越しにランジャンを見ながら言った。


近くまで行くと、その家の前に立つ一人の男が見える。


ふわりと降りると、その人影の後ろに小さな男の子が二人いるのがわかった。


「わざわざおいで頂いて申し訳ございません。この子たちが、暁シンと暁チェンです」


「暁シン‥チェン、、、」

(師叔の暁シンチェンの名か?)


「私どもは、暁シンチェン殿の遠縁です。

兄が暁シンチェン殿のような立派な人になってほしいと名付けたのです」


「暁シン、暁チェン、俺は夷陵老祖だ。

知っているかい?」


二人の子がうなづく。

「よく父様がお話をしてくれました」


ウェイインは二人の前でひざまづき、二人の小さな手をとって、


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二人にお願いがあって来たんだ。


昨日の夜、君たちの父様と母様の魂に会ったんだ。

君たちをずっと捜していて、でも見つからなくて、とても悲しんでいた。


父様と母様に会ってほしい。

君たちが生きていることが分かれば、きっと天に召されて幸せになれる。


あの家に行くのが怖いのはよく分かるよ。

でも父様と母様のために勇気を出してくれないか?


俺たちが、必ず守るから、、、


沢蕪君とうなずき合う。

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すぐさま御剣であの商家へ向かう。

沢蕪君が二人の子を、片手に一人ずつ抱いて飛ぶ。

つづく




 


映像が繋がっているようにも見える👏