三次創作小話「忘羨その後」(3-5)




いきなり、「キーン」と頭の中で鳴り響く。


すると、家の中から、むせぶような悲鳴が聞こえてくる。


ウェイインが目を閉じ、精神を集中させ、霊の気配を探ろうとしている。


「どうやら悪霊にはなっていないようだ。ランジャン、尋ねてみてくれ」


ランジャンは、琴を奏でて霊を鎮めようとする。

大人しくなったところで、問霊を始めた。


ジャンという音と共に琴がすっと消えた。


「前の家主たちだ。

二人の幼な子を探している。

生きていると伝えたが、信じていない。

どこかで、はぐれてしまった、と嘆き悲しんでいる」


(胸が締め付けられる。

ウェイインを捜し求めた日々が蘇ってくる)


堪えきれず涙が溢れる。


「ランジャン泣くな」強く抱きしめた。


「大丈夫だ。俺はここにいる。どこにも行かない」必死に、繰り返し語りかける。


その夜は、抱き合ったまま眠りについた。


「ウェイイン」と呼ぶ声で目が覚めた。

ランジャンが泣きじゃくっている。


「いやだ、眠りたくない、辛い夢をみたくない、君が消えていく」


(もしや霊と共情してしまったのか、、、

目を覚ましてくれ、精神が壊れてしまう)


「ランジャン、ランジャン、…」

何度も何度も、愛しい人の名を呼び続け、


両手で愛しい人の手を包み込み、一晩中、霊力を送り続けた。



朝になり、子弟たちがスージュイとジンイーを取り巻いて、にぎやかにやって来た。


「俺だって、巨師たちの居所を心得ておかないと。何事か起こった時には、いち早く駆けつけられるようにな」


ジンイーが子弟たちに偉ぶっている。

スージュイは、くすくすと笑っている。


「思ったより、大きな屋敷だ」

ジンイーが先頭で門から中へ踏み入ると、


大木の根本に白い衣と履き物が見えた。


ジンイーは、スージュイに目配せして、そろそろと近づいてみる。


木漏れ日がきらきらと当たる、大木の下に、


二人が倒れていた。


まるで生気のない様子に愕然として、、、


ジンイーは、涙目で、震える指で、

二人の呼吸を確かめると、目を閉じ、手のひらをかざして、祈り始めた。


子弟たちも、それに倣(なら)って、二人を取り囲み、ありったけの霊力を送り続ける。


スージュイは、あまりの恐ろしさに慄(おのの)きが止まらない。


(落ち着け、考えろ)自分に言い聞かせ、

思いつく限りの人に伝文を飛ばし、助けを求めた。

つづく






 シャオジャンに褒められて嬉しそう合格

dd『空を飛ぶ時、スタントマンのようだ』

dd『シャオ老師が言った』