三次創作小話「忘羨その後」(1-6)
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で、あのな、落ち着いて聞いてくれ。
お腹の子はいなかったんだ!
妊娠は間違いだったんだ!
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「は?」と呆けた顔のランジャン。
ランジャンの首から手を離し、こわばっているランジャンの手を握りしめて、さらに続ける。
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それから、大騒ぎだったんだ。
金リンが、西域でも学んだ、一流の医者を連れて来てくれたんだ。
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霊脈が微かですが、鼓動しています。
赤子ではなく、おそらく金丹が作られているようです。
前例がないので、確かな事と言い切れませんが、体内の拒否反応が、妊娠中の症状と似ていたと思われます。
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ランジャンの表情は変わらない。
「ごめんな、あんなに喜んでくれてたのに。
実は霊力は感じていたんだ。
でも赤子のものだとばかり思っていた」
一通り言い終わり、ランジャンの反応を待っている。
とたんに、ランジャンの目から溢れ出す涙に、どうしたらいいのか分からないウェイイン。
すると、ランジャンがいきなり顔を近づけ、唇と唇が触れ合った。
それだけで、心臓が跳ね上がる。
すぐ離れて、瞳を見つめ、微笑み合う。
ランジャンはウェイインの後ろ首をぐっと引き寄せ、夢中で舌を絡める。
ウェイインも、さらに深く、もっと激しく、ランジャンの舌にむしゃぶりつく*。
まるで、強い酒を一気に呑み干したみたいだ。くらくらと頭の芯が痺れる。
(、、、だめだ、よすぎる)
「沢蕪君」スージュイが呼び止めて、
「含光君はどちらにいらっしゃるでしょうか?」
「急用かい?」
「いえ、公務は終わったので、午後から琴の指南をお願いしていたのですが、、、」
「代わりに私でいいかな?」
と言われ、恐縮しきりのスージュイ。
「ちょっと前にウェイの若君が帰って来てね。今日はそっとしておいてあげようね」
と沢蕪君は微笑んだ。
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、、、だめだ、よすぎる。
苦しいほど鼓動が高鳴って、体がうずくんだ。
ランジャン、お前が欲しくてたまらない。
ウェイイン、そのしなやかな肢体が、妖艶な腰つきが、淫らな表情が、私の情欲を駆り立てる。
ランジャン、もっと強くして、もっと奥深くまで、渇望してしまう。
もう、遠慮は無用だ!
ウェイイン、衝動のままにいたぶり*たかった。
この熱情を余すことなく君に注ぎたかった。
もう、手加減はしない!
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皆が寝静まり、漆黒の夜半。
床がゴトゴトと振動して、引き戸がカタカタと揺れている。
雲深不知処中に、微かな喘ぎ声が流れて行く。
欲情が快楽を生み、さらに快楽が欲情を煽る。
二人の欲情と快楽がいつまでも回り続ける。
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つづく
*むしゃぶりつく…力をこめて激しい勢いで、とりつく
*いたぶる…激しく揺り動かす