三次創作小話「忘羨その後」(2-1)
(1-1)から2年前に話を戻します。
山肌に咲き揃う桃の花。その甘い香りが、風にさらわれて行く。
ひばりが、ピーチクピーチュルと鳴きながら、空高く飛翔していく。
ウェイインが約束の地で陳情を奏でている。
その曲は、“忘羨”。
「ウェイイン」と呼ぶ声に振り向くと、ランジャンが微笑みながら近づいてくる。
ウェイインも微笑み返し、
「この曲名、教えてもらう約束だったよな」
いきなりウェイインを抱きしめて、「忘羨」と囁くランジャン。
「雲深不知処へ帰ろう、君と添い遂げたい」
「この一年の間、認めてもらえるよう努めてきた。
誰にも反対させない。君は私が守る」
ランジャンの熱意に、
「分かった」としか言えないウェイイン。
(宗主で、しかも仙督だというのに、周りが許してくれるのだろうか)
・・・・・・・・
沢蕪君は憔悴しきっていた。
金グアンヤオの悪事を見過ごした自責の念がおさまらない。
その上、彼を信じると決意したのに
立ち直って、正しい道に戻れると、
それなのに彼を死に追いやってしまった。
悔恨の思いはいつまでも拭い去る事ができず
ほとんど人に会わず、寒室にこもったままだった。
・・・・・・・・
初めの数ヶ月、ウェイインが静室から出る事は、ほとんどなかった。
歓迎されていない事は明らかだから、、、
それにウェイインには覚悟があった。
(誰にどう思われても構わない。
この二度目の人生が、ランジャンと共にあるだけで十分だ)
ランジャンはできる限り、ウェイインの傍にいたがった。
ウェイインに寂しい思いをさせないように。
ウェイインは、ランジャンに心配させまいと、忙しく振る舞った。
新しい呪術を考えたり、呪符を作ったり、発明品の設計をしたり、、、
夏が訪れる頃、藍叔父上から、呼び出された。
「ささやかながら、藍家内々で、婚礼をしたいと思う。
これは、シーチェンからの贈り物だ」
お揃いの赤い衣を手渡された。
ウェイインは嗚咽が止められない。
ランジャンは、涙をこらえて、ウェイインの肩を抱き寄せた。
沢蕪君に礼を言うため、二人で寒室を訪ねると、快く招き入れてくれた。
「叔父上は君が以前のように問題を起こしたら、すぐに追い出すつもりでした。
今の君の素行を鑑みる*と認めない訳にはいきません」
と微笑んでくれる。
(ウェイの若君を追い出したら、ワンジーも一緒に出て行くだろう、と脅かしたからね)
変わらず、人を虜にしてしまう優しい笑顔だ。が、影があるように見えるのは、頬が幾分こけてしまったせいだろうか。
「君たちは心に従って、正しいと信じる道を貫いた。
どれほど辛くても、やり遂げた君たちを誇りに思う。私も君たちに相応しい兄にならなくてはね」
沢蕪君の目が生気に輝いていた。
ウェイインは心が浮き立って落ち着かない。
「ランジャン、酒でも飲まないか」
一方、ランジャンは静かに涙を流している。
「やっと思いが叶う。これで君は私のものだ」
ウェイインはランジャンの涙を拭って、
「ずっと前から、俺はお前のものだった。
ただ一人、俺の味方になってくれた時から」
「こんなにいいものだと分かってたら、もっと早く睦み合うんだった」
かすれた声が、ランジャンを欲情させる。
ウェイインの中の、ランジャンの“それ”が、さらに太く固くなったようだ。
思わず、「ああ」と叫んだウェイイン。
ランジャンは腰を動かし続けながら、ウェイインの“それ”を、絶妙な力加減でかわいがる。
「ああー、藍哥哥、おかしくなりそうだ。やめて、本当にだめだ」
何度か突き上げて、一緒に果てた。
ウェイインは息づかい荒く、余韻にうっとりと酔いしれていている。
その表情を見て、固く目をつむったランジャン。
すっと腰を抜くと、
ウェイインは惜しむように“そこ”に力を入れる。
また期待して、“それ”がたち始めてしまう。
(歯止めがきかなくなる。ここで止めなければ。君を壊してしまう)
強い自制力で、自分の肉欲を押さえ込んだ。
つづく
*鑑みる…過去と照らし合わせて考える
う〜ん?エアキスするシーン?
それにしてもggは、なぜ壁を向いている?