三次創作小話「忘羨その後」現代版(74)
ggの怒りを、どうやってなだめるの?
撮影中に、ggは、ddの顔が少しむくんでいることに気づいた。
前の晩に、撮影隊が出かけて、呑みに行ったことを知っていた。
ddがずっと否定していたが、ggは頬を膨らませて、ふくれっつらだ。
ggは何が起こったか分かったから。
ggがYKに尋ねたとき、YKは非常に驚いて、答えられなかった。
gg「待って」
gg「ddが呑んだ?」
gg「怒ってるぞ」
dd『私はばかだ』
すぐに、ggの後を追ったdd
dd『私がばかなんだ。私が悪い』
gg「なんで?」
ddはggに近づいて、
ddは、とてもにこやかな顔をしている。
gg「お前を許す、けど、まだ怒ってるぞ」
【夏休みはどうなる?】
それから、1ヶ月後。
ウェイインは、すっかり生来のウェイインに戻った。
「これのおかげだ。おしゃれだろ?」
紅色にひび状の黒い線が走っている玉。
手首の数珠をクルクル回しながら、
「これを触ると、落ち着く。
不思議なことに、寂しさや不安が消えていくんだ」
忙しさに日々追われて、時間が立つのもあっという間だ。
「ランジャン、夏休みの予定は?」
『兄が、休暇で帰ってくるんだ。
多分、家族で、リゾートに行くと思う。
君も、もちろん一緒に』
「サマーキャンプ*があるじゃないか」
『そうだった。日程は決まった?』
ウェイインが、スマホの画面を見せた。
『ママに言っとく』
「それから、剣道同好会の合宿もあるぞ」
『聞いてない』
「きのう、突然そういう話になった」
『今から、場所をおさえられるのか?
あまり金がかからない所がいいんだろう?
今からじゃ、難しいと思う』
「キャンピングカーで、行きたい所に行くっていう手もある」
翌日のランチで、
「困ったことになった。サマーキャンプで予約したキャンプ場が、経営破綻で倒産したそうだ」
『ちょっと、待って』
ランジャンは、どこかに電話をして、説明をしている。
『何人位だった?』
「大人も含めて、20人かな」
『うん、分かったありがとう』
電話を切ると、『なんとかなるって』
『そうだ。ついでに、剣道同好会も一緒にできたら、一石三鳥だ』
「三鳥って?」
『ママの家だから、家族旅行も兼ねてってこと』
ランジャンは、スマホで写真を見せてくれた。
『小さな島だけど、ヨットもボートもあるし、プールとテニスコート、あと、馬も飼ってる』
「島って、丸ごと?」
『そう。これが、屋敷だ』写真を見せた。
「一体、何部屋あるんだ?まるで城のようだ」
『昔は貴族の別荘だったそうだ』
「お前んちって、すごい金持ちなのか?」
『ああ、違う、違う。維持費が大変で、負の遺産だって言ってる』
次の日は金曜日、
ウェイインは、「飲みに行かないか」とランジャンを誘う。
『ごめん。ゼミ活で遅くなる。
なるべく早く帰って来る。家飲みしよう』
ウェイインは、ランジャンを待っていて、
いつの間にか、眠ってしまった。
キキキー、ガシャーンという音で、目が覚めた。
まさかと窓の外を覗くと、バイクが横たわっていた。
急いで階段を降りていくと、ランジャンと鉢合わせした。
「バイクはどうした?」と聞くと、
『飲んだから置いてきた』
「お前が事故ったんじゃないんだな」
『うっ』
ウェイインを押し退けて、部屋に入ると、バスルームで吐いている。
なかなか出てこないと思ったら、ランジャンは床に転がっていた。
腕を引っ張って、どうにかこうにかソファに寝かせた。
数時間経って、
バスローブ姿のランジャンが、ベッドに入り込んできた。
『ごめん、ウェイイン』
「俺は怒ってるんだ」
ウェイインは背を向けた。
『私が悪かった。私がバカなんだ』
ウェイインを背中から抱きしめ、
『許して』耳元で囁く。
「許してもいいけど、まだ怒りは収まらないからな」
ランジャンの手を思いきり、つねった。
つづく
※サマーキャンプは、ボランティア団体の子ども達のための行事。
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