三次創作小話「忘羨(ワンシェン)その後」第四十九章(14)



(聶家にて)
「それで、重大事というのは?」
「春節の祝いを、藍家でやりたい」

「それが重大事ですか?私を担いで*ますね」
「藍家で祝い事なんて、一大事だぞ。
数百年の伝統を覆すのが、どんなに大変か、分からないのか」

「沢蕪君を説得すればいいだけでしょ」
ホアイサンがふんと鼻を鳴らすと、

ウェイインは、真剣な面持ち(おももち)で、
「俺が新しい伝統を作るなら、どこよりも素晴らしいものにしたい」

「それで、各世家に見に行くつもりなんですね」
「なのに、ここは空振りだった」

「では、夜を待って、前夜祭に行かれたらどうですか?
それはそれは、別世界のように煌めい(きらめい)てますよ」
ホアイサンは両手を広げて、ご満悦の様子だ。


部屋に入るなり、ランジャンの顔を見て、
「今、ふっと浮かんだんですが、
私が差し上げた金がなくなった。
あり得ない事ですよね。
これは内部の者の犯行としか思えな…」

ホアイサンに、ランジャンが鋭い視線を投げた。
ホアイサンはランジャンから目を逸らし、

「いえいえ、私利私欲のためではなく、
皆のため、あるいは、誰かのために使った、とは考えられませんか?」

「そうか、分かったぞ。
ランジャン、ジンイーたちが集めた金塊は、麻袋でせいぜい四袋だったよな?」

「うむ」
「それぐらいで、あの大玉が作れるか?
いくら、中心が空洞とはいえ、無理だろ?」

「ジンイーか、ならば納得がいく。
あれがなかったら、私は青龍と一体化していた。
助かったのは、ジンイーたちのおかげだ」

「その話、詳しく聞きたかったんです」
ホアイサンの目が輝いてる。

「またぞろ、『魔道祖師、貳*』など、企んでいるんだろう。
許可しないぞ、なあ、ランジャン」

「私は、、、反対しない。
さきほどの水晶だが、金十函分の価値はないはずだ」

「また、善行か?
自分が、どれだけ罪深いと思っているんだ」

ウェイインは腕を組んで、あきれた表情だ。
「いい加減、過去と決別した方がいい」

おもむろに口を開くランジャン。
「その読本だが、利益を生めば、私たちの借りが返せないだろうか」

「おお!さすがはランジャンだ」
ウェイインがランジャンの手をとって、二人は見つめ合う。

ホアイサンは首をふりふり出て行く。
「夕餉の用意をさせます。
もちろん、その子の分もお任せ下さい」


*担ぐ(かつぐ)…だます、あざむく
*貳…2

次回から、❸『現代版忘羨』を書こうと思います。







そう来たか!っていう動画ですニヤリ

このランジャンの手甲を黒くできたら、完璧でしたニヤリ

この後の、こ、声が、、、笑