三次創作小話「忘羨(ワンシェン)その後」第四十七章(14)
「失礼するよ」
沢蕪君が両手をかざして、体内の気を探り始めた。
「ランワンジーやランワンジー、兄上までご足労願うほどの事ではないだろう?」
また、ぎりっと睨み、
「君は、約束を、」
「ああ、はいはい、分かってる。
何かあったら、お前の言う通りにするって誓った」
軽口をたたきながらも、辛そうな表情のウェイインに、
「もう何も言わずに、ゆっくり休むんだ」
ランジャンは優しい声音だ。
ウェイインは目を閉じた。
「君の言う通りだ」
「やはり、もう一つ、別の霊気を感じますか」
沢蕪君はうなずいた。
「確かに、あの時**と似ている。
しかし、あの時は、皆が思い違いをしたが、結果、彼自身の金丹が再生され、
赤子ではなかった、、、まさか」
沢蕪君は言いよどんだ。
「はっきりするまでは、誰にも言うつもりはありませんでした」
「しかし、どうやって?また新しい仙術ですか?」
ウェイインの顔をじっと見る。
「青龍です。信じ難い事ですが、」
ランジャンは沢蕪君を見て、
「レイユー殿に起きた奇跡**はご存知ですか」
「ええ、メイリン殿の医術には感嘆しました」
「もちろん、メイリン殿は難しい手術に成功しました。
けれど、命をつないだのは、青龍の“龍の涙”の恩恵です」
ランジャンは手にした透明な玉を、沢蕪君の掌に乗せた。
「まるで清流の水の如く純粋だ」
「この“龍の涙”は、涙がかかると、それを吸収し、淡い光を発します。
すると、かけた願いが叶うのです」
「信じられない、まさに神業だ」
「俺は信じている」
ウェイインが上体を起こすと、ランジャンはその背を支えた。
「俺は願掛けをしました。
『ランジャンの子どもを授けて下さい』と」
つづく
**『あの時』とは、女子もどきになって、金丹を再生しようとしたが、妊娠してしまった!
詳しくは、第一章を。
**『レイユーに起きた奇跡』とは、手術は成功するものの、レイユーの体力はもう、、その時、ウェイインの涙が“龍の涙”にかかり、生きろという願いが叶った。
詳しくは、第四十章11、12にて。
https://ameblo.jp/nori11241124/entry-12822088067.html
『僕は異性愛者ではありません。
そういう可愛い仕草や表情をしたいだけです』
https://x.com/geek011330/status/1744010856818737263?s=46&t=BKI2Vjbw7xegQeZ79lADgw