三次創作小話「忘羨(ワンシェン)その後」第四十七章①



(不夜天にて)
暁チェンは、すっかりやつれて、元気がない。

「レイユー殿は年上だ。
それに幼い頃から、辛酸を舐めてきた。
私など相手にするわけない。
分かっているけど、あきらめられないんだ。

それに弟のように可愛がってくれる。
ということは、嫌われてはいないはずだ。

白魔鬼に相談したら、
お前は、“がき”だ。もっと大人になれ、と言われた。
どうしたら、大人っぽく見えるんだ?」(暁チェン)


「いや、見かけじゃなく、中身を言ってるんだろう?」(江ジャーハン)
「それは一朝一夕でなれるものではないでしょう」(聶ミン)

がっくりと肩を落とした暁チェン。

「どうして、シン兄に相談しないんだ?」(江ジャーハン)
兄様は恋をしたことがない。
それに最近、変なんだ。いつも不機嫌で怒りっぽい」(暁チェン)
「それって、私の父上みたいだ」(江ジャーハン)

「でも、すぐ反省して、しゅんとしてしまう」(暁チェン)
「うちの宗主に似ています。後ろ向きの性格なんです」(聶ミン)

「少し心配になって、」
ため息をついて、
「話すとけんか腰になってしまうし」(暁チェン)

「では私たちが、様子を見てきましょう」(聶ミン)
「そうしてくれれば、ありがたいです」(暁チェン)

「明日は、七日に一度の“金の大玉”の入れ替えです。一人ではきつい作業です。できれば、」(暁チェン)

「分かった。みなまで言うな」(江ジャーハン)
三人は、笑い合った。


(寒潭洞前にて)
「なぜ、君たちがここに?」(暁シン)

「前から、温のお祖父さま(温ニン)に言われてたんだけど、なかなか機会がなくて、
ようやく、きのう、チェン兄の様子を見に行けました」(江ジャーハン)

「ちょうど、“金の大玉”の中身を入れ替える日だと聞いて、手伝いに来ました。
透視術も透身術も習得したので、抹額の必要もありません」(聶ミン)
つづく


※分かりづらい箇所
白魔鬼…不夜天、チョンリンの仲間の中で、唯一、結婚している男。詳しくは28章12、13にて。

金の大玉…青龍に霊力を与えるため、考えられた。36章3あたりかな?

透視術、透身術…薛ユンの一族の仙術。薛チョンハイから逃げた一族。





よくできてますねニヤリ