三次創作小話「忘羨(ワンシェン)その後」第四十六章(13)



(温家診療所にて)

翌朝です。朝から雲一つない快晴。

物見遊山に出かけたくなるような、小春日和の穏やかさです。


ジンイーは、座学生を食堂に集めた。


「何が始まるんだ?」

「お説教か?」

「お説教なら、きらきら金氏だけにしてくれよ」

「あいつら、迷惑ばかりかけて、何様のつもりだ」


ジンイーは「うほん」と咳払いして、

「きのうは、遅くまで行方不明者の捜索に手を借りて、申し訳ありませんでした。


なので、今日の予定はすべて延期します。

これから、市場に繰り出しましょう!」


「やったあ!」

「一度行ってみたかったんだ」

「市場って?聞いたことがない」

「そこに行って何をするんだ?」

「それより、ゆっくり休みたいよな」


「おほん」と気取った声を出すジンイー。

「商家などで仕事を手伝ってもらいます。


もちろん、働きぶりが優れていると評価された者には褒美が出ます。

商家からも温家からも」


「そこで、組み分けをしようと思います。

ここにあるくじを引いて下さい」


座学生たちが我先きにくじを引こうと押し寄せる。

「残り物には福がある。という言葉を知らないのか?」 


その声に振り向くとウェイインが腕を組んで、壁に寄りかかっていた。


ウェイインは皆の前に立つと、

くじの箱を手に取り、「順番に並べ。俺が引いてやる」


一人目に、紙片を手渡すと同時に、

「なぜ、若い仙師を集めて教化するのか、分かるか?」と訊いた。


二人目の時には、

「各々の能力を伸ばすことはもちろんだ」


次々に手渡しながら、声をかける。

「同時に、他世家と交流し、切磋琢磨する。

この場でしかできない事だ」


「互いの違いを認め、敬うべき所は敬う」

「自分の改めるべき所は改める」


「そして、将来支え合う、知己を得られれば、これ以上幸せなことはない」


「いいか、常に視野を広く、」

「思考を柔軟に、」

「行動は迅速かつ確実に、」

「結論は慎重に、されど大胆に、」


金家の子弟三人は、くじを受け取りにこない…

つづく







避塵の剣の先っぽが、、、

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