「シュエンユー殿、もう一つ、お願いがあるのですが、ハイユン、おいで。
この子たちの似顔絵を描いてもらえないだろうか。それを方々の街にばらまき、情報を得たい」(ウェイイン)
「もしや、この子の目を気遣ってのことですか?」(シュエンユー)
「親族を見つけたい、それが主意です。
しかし、おっしゃる通り、目が不自由でなければ、ここまでしません。
失明の原因が分かれば何か治療法があるのでは、ならばできる限りのことをしようと思ってます」(ウェイイン)
「お礼は…」とランジャンが言いかけると、シュエンユーは、「私もお願いがあります!
ウェイの若君の逸話本を絵物語*にさせて下さい」
「耳ざといな。俺は構わないが、」
ウェイインはランジャンを窺う。
「では副本を作りますので、でき次第、送りましょう」(ランジャン)
「でも、山での生活*は分かりにくいかもな。そうだ、俺の母の逸話本*も読んでみるか?」
「はい、ぜひ!」
シュエンユーは、黙々と子どもたちの絵を描いている。ホアイサンは惚れ惚れした顔で、それを見つめている。
ウェイインは「あいつら、絶対できてるぞ」とランジャンに囁いた。
「できてる、とはなんだ?」
ウェイインは、ランジャンの耳元で、
「俺たちと同じだ」
ランジャンは目を見開いて、口をへの字に結んで、首を振った(信じられん)。
その顔をウェイインが笑うと、ハイファが笑い、ハイユンもつられて笑う。ランジャンも苦笑した。
その様子を素早く絵にしたためるシュエンユー。
子どもたちの絵を数枚描き終え、「どうでしょう?」
「おお、よく特徴を捉えている。さすがだな」
「この絵も頂けますか?」ランジャンは四人の笑い合う姿の絵を指差した。
シュエンユーは、その絵を差し出した。
ランジャンの顔が花のようにほころんだ。
「宝物がまた一つ増えました。ありがとう」
別れ際、ウェイインは聞いた。
「いつの間に、『ユーユー、哥哥』と呼び合うようになったんだ?」
「ええ!言ってましたか?」二人で顔を見合わせた。
「宝剣に夢中で気づきませんでした」シュエンユーが頬を赤らめた。
「やっと想いが通じたんですね」シュエンユーに微笑むウェイイン。
すかさずランジャンは、ウェイインを自分に引き寄せた。
完
*絵物語…漫画です。
*山での生活…抱山散人がウェイインを生まれ変わらせ、15才まで山で暮らしていました。
*俺の母の逸話本…蔵色散人の逸話本。これも黄師叔が書いてくれました。
「長空之王」この映画の撮影も大変そう
都内を回っているそうです!
「余生清多指数」DVDリリースの宣伝かな⁉︎