三次創作小話「忘羨(ワンシェン)その後」第二十七章(14)



(静室にて)

「シュエンユー殿、もう一つ、お願いがあるのですが、ハイユン、おいで。

この子たちの似顔絵を描いてもらえないだろうか。それを方々の街にばらまき、情報を得たい」(ウェイイン)

「もしや、この子の目を気遣ってのことですか?」(シュエンユー)


「親族を見つけたい、それが主意です。

しかし、おっしゃる通り、目が不自由でなければ、ここまでしません。

失明の原因が分かれば何か治療法があるのでは、ならばできる限りのことをしようと思ってます」(ウェイイン)


「お礼は…」とランジャンが言いかけると、シュエンユーは、「私もお願いがあります!

ウェイの若君の逸話本を絵物語*にさせて下さい」

「耳ざといな。俺は構わないが、」

ウェイインはランジャンを窺う。

「では副本を作りますので、でき次第、送りましょう」(ランジャン)


「でも、山での生活*は分かりにくいかもな。そうだ、俺の母の逸話本*も読んでみるか?」

「はい、ぜひ!」


シュエンユーは、黙々と子どもたちの絵を描いている。ホアイサンは惚れ惚れした顔で、それを見つめている。


ウェイインは「あいつら、絶対できてるぞ」とランジャンに囁いた。

「できてる、とはなんだ?」

ウェイインは、ランジャンの耳元で、

「俺たちと同じだ」

ランジャンは目を見開いて、口をへの字に結んで、首を振った(信じられん)。


その顔をウェイインが笑うと、ハイファが笑い、ハイユンもつられて笑う。ランジャンも苦笑した。


その様子を素早く絵にしたためるシュエンユー。

子どもたちの絵を数枚描き終え、「どうでしょう?」

「おお、よく特徴を捉えている。さすがだな」

「この絵も頂けますか?」ランジャンは四人の笑い合う姿の絵を指差した。

シュエンユーは、その絵を差し出した。

ランジャンの顔が花のようにほころんだ。

「宝物がまた一つ増えました。ありがとう」



別れ際、ウェイインは聞いた。

「いつの間に、『ユーユー、哥哥』と呼び合うようになったんだ?」

「ええ!言ってましたか?」二人で顔を見合わせた。

「宝剣に夢中で気づきませんでした」シュエンユーが頬を赤らめた。


「やっと想いが通じたんですね」シュエンユーに微笑むウェイイン。

すかさずランジャンは、ウェイインを自分に引き寄せた。



*絵物語…漫画です。

*山での生活…抱山散人がウェイインを生まれ変わらせ、15才まで山で暮らしていました。

*俺の母の逸話本…蔵色散人の逸話本。これも黄師叔が書いてくれました。








「長空之王」この映画の撮影も大変そうネガティブ


都内を回っているそうです!

「余生清多指数」DVDリリースの宣伝かな⁉︎