【コラム】PMは技術者出身でなくともなれる?! (第3回) | 飯島法久の毎日がプロジェクトマネジメント!

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IT業界のプロジェクトは技術の進歩やビジネス要求の変化に伴い、複雑化・複数同時進行型に変化しています。
そんな背景の中、益々プロジェクトマネジメントの重要性が問われるようになりました。弊社はプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング企業です。

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【前回までのおさらい】

■ PMは技術者出身でなくともなれる。

■ PMは向き不向きがハッキリ分かれる。

■ プロジェクトマネジメントは、受注段階から始まっている。





前回は、受注段階からPMに必要とされるスキルとして、見積もり力=リスク管理能力にフォーカスしてご説明しました。



今回は、少しフェーズを進めて、プロジェクトのキックオフの段階で、必要なことについてピックアップします。





キックオフの際には、プロジェクトの立ち上げに際して、関係者に対して様々な情報共有と進め方の方針を説明する必要があります。



ここを疎かにすることは、プロジェクトの成否につながると言っても過言ではありません。


なぜならば、プロジェクトという形の定まらないものだからこそ、ベースとなるルールと進行方式について、明らかにしなければメンバーはどのように進めて行ったら良いのか迷ってしまいます。


またトラブルや不具合が起きた時、どのように対処したら良いか、不安になりますよね。


だから、まずキックオフミーティングの進め方で、PMの優劣は決まります。





キックオフに際して、決めなければならないことは、以下の通りです。



1. プロジェクトの目的背景とゴール
2. プロジェクト体制
3. プロジェクトスケジュール
4. プロジェクト予算
5. 想定されるリスクと対応方針
6. 会議体の設定
7. 管理ツールと管理権限の設定
8. 進捗報告、課題管理方法の周知





1. プロジェクトの目的背景とゴール
ここを疎かにするプロジェクトが多いのですが、プロジェクトには必ず立ち上げた目的背景と、目指すべきゴールと結果があります。

決められた期限までに、決められた成果物を納品するのが、プロジェクトのゴールではありません。
それによって、何が得られるのか?という目的目標の共有がなされないと、ミスリードにも繋がりかねません。

PMは、プロジェクトの目的をメンバーに理解してもらい、結果を得るために必要な仮説とプロセスを語れなくては、一流とは呼べません。

まずは、自分自身か正確にステークホルダーの利益を理解し、目標達成のためのストーリーを描くことです。

目指さないことは、実現しませんから。




2. プロジェクト体制
次に、体制です。
この体制の説明でも、PMの優劣は浮き彫りになります。

「何となく役割を割り振った」では体制の説明ではありません。

それぞれの役割分担とその理由、各ユニットの責任範囲と他ユニットとの連携方法などについて、丁寧に説明しましょう。

タテ割りの組織になったり、PMに責任が集中しないように、権限移譲しましょう。



3. プロジェクトスケジュール
次に、マスタースケジュールとプロセスの説明です。
納期感と重要マイルストーンについて、おさらいしましょう。

スケジュールについては変更が発生しますが、まずは当初の計画をガイドラインとして説明します。

進捗確認でも、今後頻繁に活用するツールになります。



4. プロジェクト予算
ここは、意外と開示しないプロジェクトが多いのではないでしょうか。

でも、僕は開示すべきだと思います。
なぜならば、開発規模をリアルに把握してもらうためです。

例ですが、「これは10億のプロジェクトなんだ!」と認識すれば、自ずと責任感とモチベーションが高まる効果もあります。

そして、プロジェクトのリスクを金額ベースで把握してもらうためにも、効果的です。

後は、メンバー育成の観点もあります。
多くの会社は、管理者になってからいきなり数字を与えて追いまくる傾向にありますが、管理者になる前から数字感覚を養うトレーニングになるはずです。



5. 想定されるリスクと対応方針
これは、かなり重要です。
プロジェクト開始段階でも、ある程度リスクは想定出来ます。

見積もり条件やプロジェクト計画書に書く会社は多いと思いますが、実際にプロジェクト現場でそのリスク観点が効果的に機能しているのを、殆ど見たことがありません。

それは、キチンとメンバーに周知徹底出来ていないからだと思います。

リスクは、管理者だけが認識すれば良いものではありません。

メンバー一人一人が理解することで、未然にトラブルや障害を防ぐことになります。



6. 会議体の設定
会議体の運営も重要です。
どのくらいの頻度で、どのレベルの情報共有をするかの観点で、設定しましょう。

少なくとも、メンバー向け、リーダー向けなどにレベル分けし、顧客定例をPDCAの頂点に置いて、毎週進捗課題確認のサイクルが回る仕組みづくりをすれば、ミニマムマネジメントをしなくても、問題抽出と早めの対処が出来ます。

自分がプッシュ型で情報を取りに行かなくても、メンバーとインタラクティブにやり取りが出来る環境づくりの第一歩です。




7. 管理ツールと管理権限の設定
プロジェクト管理ツール、情報共有ツールの使い方、権限設定などを行います。

地味な作業ですが、メンバーが気持ちよく効率よく働くためには欠かせない作業です。




8. 進捗報告、課題管理方法の周知
日々の運用で、一番肝になるのがココです。
プロジェクト管理は、大まかに言うと進捗と課題管理が8割です。

このサイクルが機能するかしないかによって、円滑に運営出来るか、後手後手になるかが決まります。

タスクを要素分解して割り当て、進捗状況の見える化を図りましょう。

課題管理ルールを明確に策定し、メンバーから積極的な課題抽出が出来る環境を整えましょう。







上記に挙げた各項目は、どのプロジェクトでも実施しています。


しかしながら、「当たり前のことを、当たり前でないレベルでやること」が、理想のPMになるために、必要な観点ではないかと考えます。




上記は会社としてフォーマット化されてるところが多いので、あまり考えずにシートを埋めていく作業になって本来の目的を忘れているPMが多いのではないでしょうか。



それぞれの項目に重点ポイントがあり、そこをキチンと定義しケアすることが、プロジェクトの成功につながる意識で進めていくと、経験上大切だと感じています。



次回は、実行フェーズでのポイントに絞って考えてみます。






本日も最後までお読み頂き、誠に有り難うございました!


皆様との良きご縁に深く感謝申し上げます m - - m



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