【書評】受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法 | 飯島法久の毎日がプロジェクトマネジメント!

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IT業界のプロジェクトは技術の進歩やビジネス要求の変化に伴い、複雑化・複数同時進行型に変化しています。
そんな背景の中、益々プロジェクトマネジメントの重要性が問われるようになりました。弊社はプロジェクトマネジメントに特化したコンサルティング企業です。







さて、本日はIT業界のシステム開発に携わる方向けのこの一冊をご紹介致します。



この本は2008年に出版されていますので、昨今のクラウド化が進んだIT業界の事情とは少し開きがありますが、それでもシステム開発が無くなることはありませんので、全てのSEやプログラマ、そして新しく業界へ入ったばかりの方へ是非ともオススメしたいです。



他業界の方は耳慣れない言葉があるかも知れませんが、最近一般的に生活に浸透してきたIT技術の裏側では、技術者達がどんな苦労をしているのか、興味があれば読んでみてください。(言葉はgoogle先生に聞けばいくらでも意味は載っています^^)


他の業界の人から、IT業界に携わる人の特性を把握するには、とても役に立つはずです。


他業界の方にこそ、こういったコテコテのIT本を読むことによって、業界特性を理解し、IT業界の人間と関わる際の判断基準にして頂きたいと思います。


そして、何よりももっとITというものを身近に感じて欲しいと私は常日頃願っています。

元々、僕も転職組ですので。



一方、同業界の方については、業界トレンド的なものを捉える視点ではなく、ウォーターフォール型のスタンダードな受託開発の教科書だと思って読んでみると良いでしょう。



さて、このように色々な方に役に立つ本ですので、
他業界の方もターゲットとした書評にします。


もっと業界向けのコアな内容も詰まっているのですが、比較的他業界の方が読んでも興味が湧くようなポイントに注力してご紹介します。





①受託開発を楽しむには
受け身の姿勢を変える、サービス中心主義


2006年の時点でのデータでは、ソフトウェアの半分は受託開発でした。

やり方としては、上記のウォーターフォール型のものの他にもアジャイル方式などの新しい開発方法が検討されていましたが、「システム開発と言えば受託開発」という認識が一般的でした。

そして、業界特性として、実際に開発を行うソフトウェアベンダは、直接エンドユーザと折衝する機会が少なく、お客様と言えば大手SIerであることが一般的です。

最近は直接お客様から受注するケースも増えて来ているでしょうから、その場合に必要なことはとにかく「お客様のメリットは何か」ということをお客様の視点で考えることだと思います。

私のようなサービス業界からの転職組には一般的なことですが、一般的な技術者に「顧客視点」といってもピンと来ないかも知れません。

それを身につけたいと考えている方は、是非ともご一読下さいね(^_^)

顧客視点を身につけるための本は、僕の書評ではたくさん紹介していますので、併せてご覧頂けると良いと思います。




②要件さえつかめば大丈夫
コストに見合う価値を提供



「決まらないくせに変わりやすい」
のが、要件のやっかいなところですね。

一度決まったはずなのに、急な仕様変更に対応しなければならない場面は、かなりシステム開発の現場においては日常的です。

では、どうすればお客様の要件を的確に引き出すことが出来るのでしょうか?

そのためには、「手段ではなく目的の話をする」「より重要な要件だけ残す」といった、コツがあります。

詳しくは本書に譲りますが、要は「何を実現したいか」という部分を、見積りと併せて「提案するという意識だと思います。

ちなみに、見積りは求められるから出すのではなく、見積り提出からサービスは始まっている、と著者は述べています。

つまり、言われたことを単純に鵜呑みにせず、顧客が何を実現したいかを考慮して価格とセットで提案する、ということです。

よく考えてみると、商売の基本ですよ、コレ。
ウチの業界の営業は、どれくらい出来ているんだろ?




③保守性に拘った設計実装テスト
テストを増やせば品質は高まる



愚痴ではないですが、ここで業界に働く人たちの声を少し集約してみたいと思います。

「お客はわがままだ。保守性に優れた運用設計を提案しても、なかなか理解してくれない。未然にトラブルを減らそうとする提案を『お金が無い』と言って受け入れてくれない。」



この考え方が100%正しいとは思いませんが、品質が大切だという考え方は、顧客も共有していることでしょう。

ITプロダクトの品質を高めるための方法で一番簡単なのは、「たくさんテストをすること」です。

様々なテストケースを作成し、あらゆるケースを想定してテストを行ってから納品すれば、未然にトラブルや深刻なバグをつぶすことが出来ます。

ですが、全ての使用場面を想定するのは困難ですし、何よりテストに時間を掛けると「費用と納期が掛かります。

当たり前のことですが。

しかし、「もっとテストに工数と費用をさいた方が良いのでは?」と著者は説いています。

私もこの考え方には賛成です。


ベンダも顧客も、「納品したら終わり」ではなく、「運用が最上流」であることを意識して欲しいと思います。

運用が軽視される場面がありますが、開発費用を効率化し、運用保守に振り向けた方が無用なトラブルが減るのは間違いないです。

「何でもかんでも実現したい」には落とし穴がありますよ?

一方で、これを顧客が分かるように提案啓蒙するのも、我々ITベンダーの仕事ではないでしょうか。





他にも、

計画とスケジュールの管理
チームで成功を目指す


などの開発プロジェクト管理について、役に立つ方法が書かれていますので、ご参照下さい。


いつかコラムで、この「運用保守の重要性」についてお話する機会を作りたいと思います。



(2017年8月15日追記)

約束通り、無料メールセミナーで運用保守の重要性に関するテーマを配信開始しました。


あれから7年経過しましたが、全くここに書いていることは色褪せていません。

つまり、業界の課題は残念ながら、何ら変わっていないということです。。


まだご登録頂いていない方は、下記のリンクから是非お読みくださいね!





本日も最後までお読み頂き、誠に有り難うございました!
 

皆様との良きご縁に深く感謝申し上げます m - - m



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