【書評】7割は課長にさえなれません | 飯島法久の毎日がプロジェクトマネジメント!

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今日のテーマは、一見昨日と似ているように思えますが、内容としては少しポイントが違います。


共通点は「キャリア」というキーワードですが、この本のテーマを一言で表現すると雇用問題です。


表題の「課長にさえなれません」というのは、実力の問題よりも、日本の雇用の仕組みの問題にスポットを当てて、ある派遣社員の物語を中心に、雇用現場の問題点について考える、というのが主なテーマです。



皆様は、労働者の権利について考えたことはあるでしょうか?


当たり前のことですが、会社の就業規則に縛られる一方、非雇用者にも守られるべき権利がきちんとあります。


昨今では、労働環境に関する問題点が指摘され、以前よりもパワハラセクハラをはじめとした、非雇用者の権利を守るような仕組みが大手企業を中心に導入されています。


私の勤務する会社にも、「パワハラ相談室」のような専門部署が設けられています。


しかしながら、現状で充分に労働者が守られているか?という部分に着目して、いくつかの事例とともに紹介しています。



<問題事例>

①年齢で人の価値が決まってしまう

派遣社員フリーターなどの非正規雇用者が、なかなか正社員になれないという問題があります。

では、何故日本はフリーターの雇用に積極的でないのか?

それは、今でも年齢給が根強く残っており、新卒よりも割高な中途入社のフリーターはコストパフォーマンスが悪いため、敬遠されるのです。

それでは、こういう市場原理を知る新卒の若者は何を目指しているのか?

答えは、「リスクを冒さず大企業に入ること」です。

以前の就職氷河期でコケた人(上記のフリーター)が辿った行く末を見ているからです。

だから、昨今の若者は安定志向へ回帰しているのです。

「構造不況」とか「デフレ」とか呼ばれている厳しい時代に、このような安定志向の社員が増えればどういうことになるのでしょうか?

現状を打破していかなくてはならない時に、安定志向の社員達が国際的な競争力を発揮出来るのでしょうか?

著者だけではなく、私も多いに疑問です。



②優秀な若者が離れていく

では、今の日本には優秀な若者はいないのでしょうか?

いや、そんなことはありません。

しかし、彼らが今後日本の中核となって活躍していくためには、いくつか障害があります。

まず、折角博士号を取得しても、30歳を過ぎたドクターは就職口がなかなか見つからないという「現実」があります。

多くの企業の人事は、
「実務経験の無い30歳は使えない」という認識だからです。

一生懸命大学に残って学問を修めた学生よりも、不勉強だがうまく「自己アピール」出来る新卒学生が内定を取る。

つまり、日本の大学は「卒業証明書発行機関」という役割を果たしているにすぎないのではないか?、ということです。

しかし、googleなどに代表される世界の超一流企業では、超一流大学実践的な学問を学んだ多くの優秀な人材が新しい技術革新などのイノベーションを興し、企業価値を高めるのに貢献しています。

最近では、10年前に比べてハーバード大学へ留学する日本人が激減したというデータもあります。

間違いなく、日本人の学力は落ちているのです。

学歴ではないですよ。

また、海外の優秀な留学生などの受け入れ体制も充分ではありません。

彼らは、相変わらず年齢給の色が濃い日本の人事制度に魅力を感じず、辞退する事例が多いとのことです。



③弱者が食い物にされる

不況になる→人件費削減→新卒採用の凍結→それでも不十分→派遣切り

サブプライム以降に、大半の企業が行ったコスト削減政策の中身です。

最終的に正規雇用は無事守られ、元々リスクの高い割に賃金の安い、派遣労働者やアルバイト達がツケを払わされる格好になりました。

本来リスクの高い仕事は賃金が割高であって然るべきなのに、「雇用を守る」という大義名分の本に、多くの非正規雇用者が犠牲になりました。

下請け構造の強い業界では、元請け企業のコスト削減要求によって倒産したり大幅なリストラが行われました。

結局、日本は弱者食い物にされる国なのです。

それが蔓延っている世の中で、
「いじめはやめましょう!」などとは、片腹痛い。



少し大げさに説明しましたし、全ての人たちに当てはまることではありませんが、日本社会に厳然として存在する雇用問題の一部を言い当てていることは間違いないでしょう。


やはり、日本はおかしな国だと思います。

借金で首が回らなくなりそうなのに、相変わらず危機感が薄いし。

不況とか言っている割には、鬼気迫る働き方をしているサラリーマンは殆ど見かけない。

かと言って、定時で帰って家族と大切な時間を過ごす人もまだ少ないし。


語り出すと切りがないのでそろそろ終わりにしますが、日本の人事制度に疑問をお持ちの方は是非とも一度手に取って一緒に雇用問題について考えて頂きたいと思います。







本日も最後までお読み頂き、誠に有り難うございました!


皆様との良きご縁に深く感謝申し上げます m - - m



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