若手教師の頃、どうしたら子供の心をつかめるのか、子供の心をつかみたいと必死にもがいていました。
子供を信じるということは、何があっても子供の心をつかんで離さない執念だ。そう思っていました。
そして、指導に行きづまり、自分に自信を失いかけたとき、高田敏子さんの詩『水のこころ』と出会いました。
「水はつかめません 水はすくうのです 指をびったりつけて そおっと大切に……」
高田敏子さんの詩は、つつみこまなければならない人の心を、つかもうとしていた独りよがりの自分の微慢さに気付かせてくれました。
「子供の心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない」
これは、 幡正教育に長年携わってきた方の言葉です。
子供の心の扉を無理やりこじあけることはできません。いくら叱っても、説教しても、子供自身が気づかなければ.心の扉を開くことはできません。
子供の心の扉の取手は内側にしかついていません。
教師の一番の仕事は、叱ったり説教したりすることではなく、子供自身に気づきの体験をさせること、気づきの場を提供することだと思います。