聖徳太子が好きです。
だから、聖徳太子が創建したといわれる、残存する世界最古の木造建築物「法隆寺」も好きです。何度も訪問しました。
法隆寺の見どころは、「中門」「五重塔」「夢殿」「百済観音像」だと思っています。
法隆寺の南大門をくぐった先にある中門は、柱の中央がふくらんでいて、これはギリシャのパルテノン神殿などに見られるエンタシスと呼ばれる技法と言われています。
『西院』にそびえ立つ五重塔は日本最古の五重塔です。
太子信仰の聖地である夢殿は『東院』の本堂にあたります。夢殿の中には聖徳太子の等身(178.8cm)と伝わる「救世観音像」が安置されています。
「救世観音像」は、現在では年二回、開帳されますが、明治に入ってフェノロサと岡倉天心によって発見されるまで、長い布(約450m)でぐるぐる巻きにされ、鍵をかけられていました。
この秘仏を表に出せば天変地異が起こるという伝承が残されていたためです。
「救世観音像」の謎は、その奇妙な保管の仕方だけではなく、仏像の背面がくりぬかれ空洞になっていること、そして光背が 直接後頭部に打ちこまれていることです。
梅原猛さんは、『隠された十字架』の中で次のように語っています。
「仏像を彫刻し、中を空にする。それは技術的には一体の仏像を彫るより困難であろう。この精密な傑作を、技術的未熟さのために、あるいは手間をはぶくために、背後をつくらなかったとは考えることが出来ない。これは故意に背後をつくらなかったとしか考えられないのである。(中略)なぜ、他ならぬ聖徳太子等身の像の中身を空にしたのか。それは明らかに、人間としての太子ではなく、怨霊としての太子を表現しようとしたからであろう。」
法隆寺の仏像の中で最も謎に満ちた仏像は、「救世観音像」だと思います。
大宝蔵院に安置されている「百済観音像」は、優しく微笑みかける柔和な表情が、見る人の心を惹きつける仏さまです。