高校総体の季節です。
家族が硬式テニスの大会に出場するためGWは応援の日々です。
団体戦は、プロを目指している子を集めた強豪校に2回戦であたり、完敗しました。
一昨日は個人戦でした。これも2回戦に強者と対戦し、ストレートで負けました。
今日はダブルスです。息子のペアは学校の一番手で、部長も務めている仲のよい先輩です。
昨年の夏から、この先輩とペアを組んでダブルスの大会に出場してきました。
夏には、予選ブロックの決勝戦まで進むことができました。
息子にとって先輩は、最高のパートナーでした。
その先輩も、このダブルスの大会が最後の試合になります。負けたら引退です。
「決勝まではいける。シードのペアを破り、予選突破したい!」という強い気持ちが2人にはありました。
1回戦はストレート勝ちでした。
2回戦は強風の中、行われました。
相手ペアの息の合ったプレーに、なかなか自分たちのプレーができず、ゲーム差が少しずつ開いていきました。
結果は1-6。
予想外の完敗でした。
1試合でも長く、1分でも長く、2人でコートに立っていたいという願いは叶いませんでした。
先輩は応援している私たちに深々と頭を下げ、声を絞り出すように「すみませんでした」と言いました。
謝る必要なんてないから。君のおかげで息子もうまくなれたし、楽しくプレーできたし、何よりも君のことが大好きだったから、試合には負けてしまったけれど、最高に素敵な思い出ができたんだよ。心の中でいろんな思いが交錯しました。
「今まで本当にありがとう」
目を潤ませ、うつむく先輩を前に、私はそれ以上の言葉をかけることができませんでした。
しばらく、先輩と息子は2人で話し込んでいました。私は2人を遠くから見守っていました。
負けても勝っても、試合後いつも饒舌な息子ですが、今日は無言でした。
帰路、車の後部座席で息子が泣いているのが、鼻をすする音でわかりました。バックミラーに泣き顔がうつらないように、ドアに顔を押し当てて泣いていました。
息子の涙を見るのは、小6以来でした。引っ越しのため、チームを離れる年下の子からもらった別れの手紙を「寂しい」と言いながら泣きながら読んでいたのが、私が見た息子の最後の涙でした。
今日の涙は、先輩のために流した美しい涙でした。
今日のような切ない経験を繰り返しながら、少しずつ成長していくのでしょう。
今日、息子は一つ大人になりました。
そして、今日、一人の高校生の高校テニスが、静かに終わりました。