のあの本棚 -2ページ目

のあの本棚

更新不定期になりますが、オリジナル小説を書いていこうと思ってます。
小説以外も書きますが、適当に読んでもらえたら嬉しいです。

智恵子のラケットからヒュッと風を切る音が鳴り、高い打点から鋭角に球が打ち出される。
初速300km/h程は出ると言われるバドミントンのスマッシュを、美紗貴は目で追うことができず、なんとか上げ返した翔也がどのように打ったのか分からなかった。
「は、速いっ!」
美紗貴の驚きに翔也は答える。
「いや、先輩はまだ本気で打ってないと思うよ。…先輩!本気でもう一度お願いします!」
翔也が再び身構えたのを確認した智恵子は、フッと息を吐きながら本気のスマッシュを打ち込む。
翔也は返そうとラケットの面を球の軌道に入れようとしたが、さすがに間に合わずにフレームに当ててしまった。
「ふぅ、これがスマッシュだよ。葉山君、ありがとうね。さすがは経験者だよ、一本目を返したもんね。」
智恵子の言葉に翔也は苦笑しつつ、足元に落ちた球をラケットで掬うように拾った。
「先輩が取りやすい場所に打ってくれたからですよ。コースを狙われたら無理です。」
二人のやり取りを惚けながら美紗貴は見つめる。
「私にも出来るのかな…。出来るようになれるのかな…。」
意識せずに思った事を呟いた美紗貴は、自分がバドミントンをやりたいと感じている事に気が付いた。
最初の目的は色々な部活を見て回り、自分に合いそうな部に入るつもりでいたが、もう既にバドミントン部の事しか考えていなかった。
「大丈夫!始めはなかなか出来ないかもしれないけど、諦めないで練習を続けてたら出来るようになるよ!」
智恵子の言葉を心で反芻し、美紗貴はしっかりと決意した。
バドミントン部に入ろう。自分も先輩や翔也のようなプレイヤーになろうと…。