先週末、若いころ大変に世話になった故人を偲ぶ会に参加しました。そこに集まった60〜80代のミュージシャンがたは旧交を温めるべくジャムセッションを始めたのですが、仕切り役が「休憩!」を告げても「じゃあ休憩時間のBGMね」とかなんとか言いつつ、誰もやめる気配なく結局散会まで四時間近くぶっ続けで演奏。もちろん僕も楽しく吹かせてもらったのですが、大先輩がたのスタミナに半ばあきれると同時に、ああこの人たちは純粋にジャズと楽器を愛する根っからのミュージシャンなのだな…と深い感銘を覚えました。

 という話を、先日の「大学ジャズ研クラリネットフェスティバル」にぶらっと立ち寄ってくれた長年の盟友、テナーサックス奏者の右近 茂さんにしたところ、

「それもあるけど、もうあの歳になるとね、生きている間にあとどれだけの時間演奏できるだろうかという思いも強くて、一つ一つの演奏機会がかけがえのないことなんだよ。俺ももうすぐ還暦だからさ、できてもあと二十年かと思うとなんだか切なくてね。二十年なんてあっという間だよ。若いころは夢のようなバンドマン生活が永遠に続いていくように思ってたのに…」

 これまでそんなことを考えたこともなかった僕は愕然としました。そして自分も右近さんと同世代(まもなく50代後半)なのであり、冷静に考えるとあと二十五年いや二十年…ベストコンディションを維持できて十五年?と考えると、急にもっともっとクラリネットを吹きたい!たくさんステージに立ちたい!練習したい!と、いてもたってもいられない気分になりました。

「右近さん、時間あったら一曲吹いてってもらえないかな?」

「え、いいの?」
とケースからテナーを取り出してストラップを首にかけながら、満面の笑みで、

「何やる?」