老害産業マウント課 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

僕の働く建設業界は老害の巣窟でもある。




ここ最近は改修工事の現場に常駐しているが、そこにいる60代の職人は社長たちの集まりなのだ。




昔は大人数を率いていたらしいが現在の従業員は1人とか、会社を潰してしまい元請けに拾って貰った元社長もいる。




気を遣うことが仕事になっている。




高層ビルなので搬入用のエレベーターが離れた位置に2つある。




工具を持って手前のエレベーターから作業に向かおうとすると、ジジイの1人が「見てこい」と言うのだ。




すると、そこの従業員の職人が反対側のエレベーターまでダッシュしたのである。




つまり、反対側のエレベーターの方が早ければそっちで待機するかどうかを先に走らせて確認させているのだった。




その走っている職人は僕よりも年上に見える。




いや、40過ぎて反対側のエレベーターまでダッシュして遠くから両腕を交差させてバッテンするのは嫌です。





そして戻ってくるだ。




このやり取りも僕らが合流したばかりの頃にやっていたが最近は普通に手前のエレベーターを待っている。





なんというか僕らに対してマウントを取りたいのは分かるけどね。




職人は技術職なので従業員はいずれ辞めるか独立するかになるので、もしくは言われるがままダッシュするかである。




そんな中で学歴マウントという新手のジジイが表れた。




24歳の若いのが詰所のテーブルに戻って来たので「何かあったの?」と聞いてみた。




上司であるジジイから「まぁ、怒られてたというか、いや、教わってました(苦笑)」と。




「何を?」と更に彼を問い詰めた。




作業でルートを使って計算する必要があるとのこと。




その計算式や暇な時は数学を勉強するように言われましたと。





僕は答えた。




「俺は今までルートを使って計算したことは1度もないよ(笑)」と。




とはいえ、今まで感覚でやっていたことを計算式で正確に出せるらしいのだ。




それは凄いことかもしれない。




ただ、24歳の彼は数学が苦手らしく困っていた。




僕は彼に言った。




「そのルートの計算式どうこうじゃなくて、それをエクセルで作って寄越せって話だよな?」と。




計算が出来る数字に強いのにこしたことはないが、それを誰でも使える汎用性という考えがないからそのジジイは会社を潰したのではないか?と思う。




若手に強気で言いながらも僕はスマホで「ルート 意味」とググっていた。




僕は高卒なのだが職人の世界では珍しく商業科に通っていたので数学の授業は高1を最後にやっていないのだ。




ちなみに高1の数学も中学のおさらいで終わったので、サイン、コサインという謎の呪文も習っていないのである。




そもそもルートがわからないので質問さえわからない(笑)




ルートという記号の予測変換には『√』←こいつが出てくるのだが、なんかイメージと違う気がする(笑)




美容師から「後ろはこんな感じです」と鏡を見せられた時のようなイメージと違う感覚である。




語感で言うならパイが好きです。




乳輪の面積を求める問題なら男子は全員東大を目指していましたよ。




数独は得意なんですけどね。