職人の属性 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

仕事始めで西新宿にある改修工事の現場に向かった。



常駐しているSさんと合流して作業内容を確認することに。



Sさんは23歳の陽キャと一緒に動いていたが陽キャが年末から体調不良を理由に1週間以上も出社していないとのこと。



その結果、予定よりも早く僕が合流することになったのだ。




Sさんから待機の時間が長くなるので陽キャがいつも使ってる座布団を使うようにと薦められた。



ゲーセンで獲得したようなバカでかい座布団だった(笑)



こういうバカ座布団を使うやつが出社してこないのは面白い(笑)



早速バカ座布団の写真をLINEで陽キャに送る。



お借りします(ハートマーク)と。




陽キャからは、どーぞどーぞ、とLINEが来た。



それから謎のマシュマロみたいなキャラクターが枕をぱふぱふしているスタンプ。




完全にナメられているが可愛いので許そう。




彼は陽キャなのにオタクというややこしい個性なのである。



それでも八王子の人間なので東リベの真似をしてマンバンヘアにする隠れオタクでもある。



先輩からの「昨日なにしてた?」の質問に「昨日は推しの誕生日だったのでTwitterで祝ってました」と答えるのだ。



今の20代はフラットにアニメ好きなので、面白い漫画なども教えて貰っていた。



流行りなのかそのほとんどの作品は人間が喰われるダークファンタジーだった(笑)



陽キャにお薦めのアニメを聞いたことがある。




「五等分の花嫁っすね!」



「いや、お前、それはキツイだろ?」



「これマジ最高っすよ!」



「サイコミステリーみたいな感じか?金田一少年の事件簿でもそんなのあったよ」



「それとは違いますよ」



「キン肉マンのミート君もそんな感じになったけどさ」




Sさんは職人としては鉄人枠なので一緒に仕事をするのは少しだけハードな面もある。




これは僕の勝手な命名になるが、職人の世界ではいずれかの特性に特化することがある。



親方や先輩の属性を引き継ぐこともあるが、もって生まれた能力を最適化させることでそれが職人としての強みになる。



特化した特性とは以下のような感じになる。





【鉄人】休憩しない。



【スピードスター】速さにだけ能力を全フリしている。



【パワーファイター】怪力。



【リーダー】軍師。




【イケメン】僕。




最後のはレアですね(笑)



いずれも個の能力で状況を打開する力がある。



この能力を持つ職人のバランスが良い会社や組織は強いのだ。




僕が今お世話になってる右寄りの社長の会社にはSさんが【鉄人】で、社長の親父さんが【スピードスター】なので特化型が2人いれば成立する。



おやっさんと呼んでいる社長の親父さんは70歳に近い年齢で【スピードスター】なのだ。



そもそも60歳を過ぎてる世代の職人たちは元からリミッターがぶっ壊れている。



【スピードスター】の弱点はその速さにあって、作業内容を間違えることが多々あり、しかし、スピードスターは手直しも速いので結局普通の職人と同じ速さじゃねーか!と突っ込まれる。



ただし、【スピードスター】×【リーダー】によって神速になったら誰も勝てない。




スピードスターが頭を使わなくていい段取りと攻める箇所と逃げる箇所を的確に指示すれば状況は大きく変わる。



まぁこれは職人として仕事の場合である。



そこにプライベートとの割合も重なる。



陽キャは若者なので恋愛に全フリして失恋すると出社しなくなるのだ。



オタクという時点で潜在能力は高いので将来化ける可能性はあるが、年齢的にもそろそろ本気を出さないといけない。



ゲーマーは数ヶ月違いで陽キャの後輩として職人の世界に入ったので2人は同期みたいなもんだ。



ゲーマーは大卒で結婚しているので仕事に全フリしている。




陽キャは独身の実家暮らしなので女の子と遊びたい気持ちもわかる。



ただ、同じ3年目でゲーマーは職長として現場を納めたし、資格も取った。



ここの焦りを諦めにするかどうかの違いは大きい。



職長として現場を納めたというワードは強い。



でも、実際にはゲーマーは現場をクビになりかけたのだ。



建設業では施主の次に神である設計さんを怒らせてゼネコンから現場からクビを宣告された(設計さんの個人的な感情にゼネコン以下が忖度で彼をクビにしようとした)。




そこを回避したのはゲーマーの日頃からの徳分でもある。



資格にしてもゲーマーは最初の資格には合格したが、次の資格には筆記で落ちて1年後まで受けれないのだ。



この差を埋めるにはゲームやアニメの時間を削って試験勉強をするしかない。



恋愛を捨てるしかないのだ。




受験勉強と同じ代償を背負うしかない。



そこまでして将来どうなるんだよ!と、その言葉の責任が取れるだけの男に俺がなるしかないのだ。



若者はいつだって自分がボーナスステージにいることに気が付かない。