初夢や北枕のがいいからと | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

あけましておめでとうございます。



皆様、今年もお付き合いの程よろしくお願い致します。
m(__)m



さて、私の近状報告ではございますが、大晦日に実家に帰省しまして、母親の作った年越し蕎麦をすすりながら母親と二人だけで紅白を観たりして大晦日を過ごしました。



いい年してこれくらいしか親孝行が出来ない自分も情けないのですが、とはいえ母親が説教モードに入らないように警戒しながら喋っているのも実に情けなかったですけどね(笑)



うちの母親はとにかくお喋りなので年が明けてからも、明け方の4時半までずっと喋り続けていました。



最初は僕の結婚についての話だったのですが途中から
“どうして彼女がお前みたいなやつのどこに惚れてるんだ?”
と、少しずつ雲行きが怪しくなり始めましてね。



母親からすると僕は息子なのですが、客観的に女として見ると僕みたいな男は“大嫌いだ”と言いたげな感じなのです。



母親ですから息子を自分の理想とする男に育てたい気持ちも分かるのですが、それに対して僕が逆らい続けてきましたので、僕の考えを話す際にもこちらをずっと睨むように、まるで全てを見透かされてるような感覚に陥るわけであります。



“ようするに、お前はキープ君だから彼女はいい男が現れたらすぐにそっちに行くよ!”



う、うぜぇ…
母親からの女目線のコメントって超うぜぇ…



“大体、お前に彼女と釣り合う要素がどこにあるんだい?”



どうやら僕には女が惚れるような要素はどこにもないと、この母親はそう言いたいのでしょう。



それは確かに母上様の仰る通りでございますよ。



たまたま苦手なタイプの女が自分の母親だったってことなんですよ。



昔からこうだからこっちもある程度の免疫はあるわけですけど。



昔から母親と父親が口喧嘩をしてもいつも母親が圧勝してましたからね。



口喧嘩というか口論みたいな感じに持っていくわけですよ。



論理的に自分が正しいことを証明すれば勝ちというのが母親の必勝パターンなのです。



もちろん父親も母親の論法の流れを読んで傾向と対策を練って挑むわけですけど。



そうすると途中で父親が「さすがに今のは言い過ぎだろ!」と、母親が論点から外れたことを言った箇所を“ここぞ!”とばかりに指摘するわけです。



今のは“ただの悪口”だと父親がそれを指摘するわけですね。



すると母親は平然とこう答えるのでした。



「へぇ、自尊心が傷付いたん?」と。



当時、僕は小学生ながら“自尊心ってなんだ?”と思いながら両親の口論の行く末を見守っていました。



そして父親は自尊心が傷付いたことを素直に認めるのです。



口論の最中でも客観的に自分の感情の変化も認めつつ、それらを冷静にコントロールする作業を同時進行しなければ、この山賊みたいな母親に喋りで勝つことは不可能なのだ。



潔く素直に認めるしかないのである。



自分の中にある見栄や欲望を徹底的に晒すしか己を守る術はないわけであります。



母親が納得するだけの“やれるだけやりました”を提示しなければ話が終わらないのです。



これはもう修行でしかないんです。



世間から飛んで来るであろう批判の矢に対して、どんな角度から飛んでくる矢も全て避けきってみせろってことだと思うんです。



僕としては世間からの無数の矢よりも、目の前の身内が刀を抜いて構えているのがわからんのですよ。



このままではいつか討ち取られてしまうので、僕の真骨頂である聞き上手を繰り出すわけです。



母親が長男の嫁としてこの家に嫁いで来たときからのエピソードや愚痴の数々を明け方4時半までずっと聞き続けました。



もうすぐ70になるババアなのに、喋り出したら止まらねえのだ。



まぁ話を聞くのは嫌いじゃないのでいいんですけどね。



最終的には喋り疲れて寝ることになりまして、僕の実家で使っていた部屋はもうないので帰省した時には昔家族で住んでた隣にある婆ちゃんちの居間で寝るわけです。



基本的にその居間に親戚とか集まるので、僕は朝も早く起きなきゃいけないし、誰もいなくなってからしか布団で寝れないわけですよ。



両親は隣の新築で寝るわけで、兄貴夫婦は近くにあるアパートに住んでるのでね。



で、布団を敷いて寝ようと準備してたら母親が枕の向きをどうするか聞いてきたから、別にどっちでもいいからいつものテレビがある方向にしようとしたら逆がいいと言い出すわけさ。



いや、寝るのは僕の自由だし、しかもそっちは北枕だと。



そしたら北枕でも大丈夫なんだと言うわけでね。



いや、意味がわからんと。



北枕の方がいいんだと。



それ何なん?



どっち向いて寝ようと、そんなのオレの勝手じゃん。



いいからいいからって急かすのよ。



ババアの言う“いいからいいから”ってのは何の科学的な根拠もないからね。



昔から絶対に嫌だって言っても“いいからいいから”ってババア連合が押し付けてくる感じあるのよ。



そんでニヤニヤしてんのよ。



センスが昭和のくせに100%違うのに“いいからいいから”言って無理やり納得させようとすんのよ。



昔の写真見ても変な格好とか変な髪形にされてるのあんのよ。



とはいえ僕は年齢的にも親孝行モードに入ってるので言われるまま北枕で寝たわけですけどね。



実家の飼い猫だった最後の1匹が少し前に死んじゃったそうなのでね、こんな母親でも猫ロスだと思うので北枕で寝てやったわけです。



明け方の5時に寝ても9時半くらいには兄貴夫婦が甥っ子を連れてきたので初夢を見る暇もなく慌てて起きましたね。