不動産教室Z | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

不動産屋の先生からの話に僕はマンションを買う気になっていた。



冷静に考える時間を与えては貰えなかったのもある。



先生からの話を聞いてみて、ついさっきまで知らないことばかりで頭がまだ整理できてなかった。



とりあえず不動産を購入する際には先生に連絡しますと伝えると「そう言って貰えるのは嬉しいですけど、僕も忙しいんでタイミングは今しかないですね」と言われた。



「さっきから何回も言ってますけど、不動産はタイミングなんですよ!僕にはこれを買わない理由がわからない!!」と先生は両手をあげて吠えた。



「何かまだ悩む理由があるなら教えて欲しいです」と。



親とか兄貴に僕がマンションを買ったって話をした時に、2,000万ならローンじゃなく現金で買えばいいだろって笑われないですかね?と。



「…親に言うのはよくないですね。皆さん親には言わないで購入してますからね」



「自分の資産ですから親から自立する意味でも、自分の意思で買うべきだと思いますよ」と。



「確かにローンの利息を払うことを考えたら現金で一括で購入した方が安いですよ」



「ですが、ローンにはローンのメリットがありますからね」と。



「現金で一括で購入したらそのままの金額ですけど、ローンの場合には保険に入れるんです」



「ローンの半分しかまだ支払ってなくても、もしガンになったら保険でローンの残りの支払いはゼロになりますからね」



「実質半分の金額で購入することもローンだと出来るわけです」



「銀行ローンを組むということは、購入する物件の販売価格が適正かどうかも銀行が独自に調査してくれるんです」と。



「銀行はお金を貸すわけですから物件が資産価値として回収できるか、我々が嘘を付いてないかどうかも銀行が調べますから」と。



「現金で購入する場合はそれを自分で調べるしかありません。不動産の価値って売る側が3,000万円ですって言って、その金額でわかりましたって買う人がいるならそれでも成立するんですよ」



「とりあえず銀行の審査が通るかだけでも調べてみて、それでどうするか考えたらいいと思いますよ」と。



「信用情報の開示はスマホからでも出来ます」と。



しかし、僕の携帯はガラケーだった。



仕方なく先生の私物のスマホで僕のデータを入力するも開示をすることは不可能だった。



先生は会社の担当者と連絡を取り合って、スマホではなく書類に書いて送ってから開示報告書の返信を待つことになった。



その書類のデータを会社から送ろうとするも僕の部屋にはPCやプリンターもないし、ネット回線すら契約していないのだ。



先生の中で僕という人間に対する理解力が限界を超えてしまったみたいで、こんなことを言われた。



「もしかして、携帯のローン(分割払い)の審査に落ちてるからスマホに替えられないんじゃないんですか?」と。



いや、バカにするのもいい加減にしてもらいたい(笑)



彼女から束縛されたくないからガラケーのままなのだ。



とうとう先生の計算にも狂いが出てしまった。



源泉徴収書はありませんか?と言われたが、ないのである。



会社の社長からは源泉徴収書は送ったと言われてて、還付金もなかったので社長に聞いたら給料から引いてる額が少なかったから逆に払ったと言われたのだ。



給料明細はありませんか?と言われたので、恥ずかしくて見せれませんと答えた。



僕も今の建設業界に来るまでは普通の会社に勤めていたので、給料明細の正解は知っている。



大手なら青焼で印刷した封筒みたいなやつだし、そうでなくてもエクセルでちゃんとした項目になっているのが給料明細である。



うちの会社は社長が外国人なのと嫁さんは日本人だけど学生結婚をしているので会社というものの常識を全く知らないのだ。



社員なのに消費税を引かれていたりと内容が酷い有り様なのだ。



僕がお金に無頓着なのもあるけど手取りだけで考えたら他の仕事をした方が休日も収入も遥かに多い。



そもそも女の居ない職場という条件だけで片足を突っ込んだ業界なのでそれは仕方ない。



それでも構わないというので先生に見せたが、借り入れ額と計算が合わないと言うのだ。



僕は過去に1度、過払い金請求と任意整理をしているのだが、またそこから借りれていることが先生からすると信じられないと言うのだ。



とにかく僕は何だかんだ言ってもずっと働いているのだ。



ブラックどころか漆黒のヤクザの会社で給料が3ヶ月も未払いのまま泣き寝入りしたりと、金と女には苦労ばかりしてきたけど返済だけは真面目にしてきているのだ。



なぜ完済したのにそこから貯金をせずにまた借金をするのかと言われれば、彼女から別れるなら慰謝料を請求すると脅されているからだ。



さすがに無い金は取られない作戦である。



いくら稼いでもどうせ取られるなら、お金のことは気にせずにひたすら働いているだけなのだ。



パチンコなんかやるより誰かと喋ってる方が楽しいに決まってる。



先生から区役所で収入証明書を貰ってくるので委任状を書くように言われた。



その翌日、先生は僕のアパートにその原本を持ってきて驚きの一言を放った。



これ去年の収入証明ではなくて、一昨年のやつです、と。



役所の人から別の部屋に案内されて、去年の確定申告がまだされてませんと言われました、と。



このままだと無申告者になってるのと、保険料も一昨年の金額で引かれているので早めに会社に言った方がいいですよ、と。



うちの社長は外国人なので平気でこういうウソをつくのである。



さすがの先生も僕のお金に対する無頓着さに呆れるを通り越して普通に心配をしてくれていた。



信用情報が開示されても僕がマンションを購入することはない。



結果的に冷静に考える時間が持てたのだ。



先生から不動産や金融の話を聞いて思ったことは、10年前にその話を聞いていたら僕の生き方は180度違っていたということだ。



結婚する前の資産は財産分与には該当しないという。



若い女の子がマンションを買う理由はそういうことらしい。



彼女たちが買っているのは1Kのマンションなので、それは結婚する目的じゃないと。



女というのは賢い生き物なんです、と先生は語っていた。



その賢い生き物の餌食になったのが僕なんだなと。



みんな計算をして生きている。



確かにそうかもしれない。



だけど先生が僕に対して呆れ果てた時に醸し出した憐れみのような距離感には先生から初めて人間としての体温を感じた。



これからどうやって生きていくか、どうするべきかをちゃんと計算して行動していきたいと思う。



これまでの僕に足りなかった部分を先生からたくさん学んだ。



情報量や計算力で物事を考える力。



それこそが僕の中にある“不動産”になるのだと。










天狗「カッコつけてんじゃねーよ!!」



河童「クソ真面目か!!」


天狗「つーか、こいつ、どんだけ長い間ボケてたんだよ」



河童「途中なんかさ、下ネタをやめようとしてたもんね(笑)」



天狗「ったく、俺がどんだけ鼻を長くして待ってたか…」



河童「そうでもないよ。前から鼻はそんなもんだよ。まぁね、これからは天狗と河童の漫才ブログとして気楽に行きましょう!」







人間とはこの世界に誕生したその瞬間から“不動産”なのである。





天狗「しつけーよ!!」
河童「しつけーよ!!」