つなぎ2 | 天狗と河童の妖怪漫才

天狗と河童の妖怪漫才

妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

ほんと久しぶりの飲み会だったわけでね。



自分の会社の人間とか職場の班のメンバーとかは普段からずっと一緒に働いてて知ってる間柄なんで飲み会とかあってもそこまで楽しくはないのよ。



仕事の頭がどっかにあるからね。



会話の自由度にも制限があるわけでね。



年齢的なポジション的にも気を使わなきゃいけないのも面倒だしさ。



社員旅行の宴会なら完全に仕事の頭を捨てて楽しめますけどね。



ステージで全裸になって歌っても笑えるわけですけどね。



ちゃんと2番のサビで脱ぐわけですね。



1番のサビで脱いじゃダメなんですよ。



正確には1番のサビで中国人の野郎から急にパンツを脱がされてフルチンになってしまったわけですが、何事もなかったかのようにカッコつけて歌い続けるわけですね。



これがウケるわけですよ。



男しかいないオッサンばっかの宴会ですからね。



で、1番が終わって間奏の時にジジイが割り箸に千円札を挟んだのをチップとして僕に渡してくれるわけですよ。



これも芸が細かいのでウケるわけですが、2番を歌い始める時に僕はこの割り箸に挟んだ千円札で股間を隠しながらカッコよく歌うわけです。



これもウケます。



あとは2番のサビまでステージを移動したりして間を持たせて、サビの瞬間にTシャツも浴衣もジャケットのように脱ぎ捨てて全裸で熱唱するわけですね。



男社会とは何でもいいので、こいつには勝てねぇなと全員を圧倒することが大切なんでね。



中国人からフルチンにされる襲撃を日本男児として平然と笑いで跳ね返すわけです。



今になって当時はみんな若かったなぁと思うわけですけど。



社員旅行も年寄りばかりでバカをやる若いやつもいないので盛り上がらないわけですよ。



若いやつも僕と同世代の人らもみんな辞めて行ってしまうわけです。



若い芽を潰しに来る先輩っているわけでね。



仕事でもそうなるようにハードル調整をされちゃうわけでね。



仕事でも仕切りたがる人って若手を巧みに潰してくるわけでね。



この人が会話に参加してない時には、そこまで盛り上がっちゃいけないぞって人がいるじゃないですか。



仕事の休憩中に何人かと喋ってても遠くからずっと視線を感じるタイプの人ね。



こっちの会話が盛り上がって加速してるその最中に急に僕の名前を呼んで「ちょっと行こうか」って、その場から連れて行くタイプの人がいるわけですよ。



もう少しでオチだったのにってさ。



自分が会話に参加してる時はゲラゲラ笑ってるのにそうじゃない時とか、酷いときなんかは「笑ってんじゃねえよ!!」とかマジ切れトーンで言ってくる人がいるわけですよ。



そうなると何も楽しくないんですよね。



みんなが自由に発言できるから楽しいわけでさ。



この人は僕が社員旅行のステージで爆笑をかっさらった後にも、宴会場から引き上げるときに真面目なトーンで、中国人からパンツを脱がされた時に僕の顔がキレてた、とみんなに言うわけですよ。



シラフで全裸になれるやつがそれくらいでキレるわけないじゃないですか。



ようするに仕事以外でもその人より目立っちゃダメなんですよ。



そうなると誰もバカをやらなくなって盛り上がらないわけでね。



そうじゃない飲み会の空気ってただただ時間が長く感じるのよね。



自由じゃないわけですよ。



そんで今回の飲み会に誘ってくれた人はずっと喋ってられるタイプの人でね。



昼休みとか職人はみんな基本的に昼寝をするんだけど、その人とは寝ないでずっと喋ってられるというか、気が付いたら昼休憩が終わってたみたいな感じになるわけですよ。



で、待ち合わせの場所の神田でその人と合流しましてね。



僕はてっきり場所が神田だったので、その人から頼まれて日曜日に応援(仕事)に行った現場の社長さんが主宰する打ち上げみたいな飲み会だと思ってたんですよ。



その応援に行ったところの社長さんも合流したら、どうも話の内容からすると違うみたいで、僕を誘ってくれた人が主宰する飲み会だったんですね。



あと何人集まるのか、店の場所も知らないし、僕としては“つなぎの感じ”でやらなきゃいけない意味がわかってないわけでね。



そこに元請けの人が来て4人になって立って喋ってましてね。



(元請け、社長、社長、僕)ですから基本的に僕は無口ですよ。



様子を伺うわけですよ。



そっちの仕事の会話には参加できないし、登場人物も知らない人の話だったのでね。



誘ってくれた社長と、もう一人の社長が…。



ややこしいので、服装で説明すると、もう一人の社長は若いのよ。



僕より少し上くらい30代後半かな。



青いウエスタンシャツに青いジェントルメンが被るような帽子を被ってるので、青社長と呼ぶとしよう。



僕を誘ってくれた社長は青社長のことを名前で呼び捨てにしてたので、元は部下で独立した感じなのかな?とパワーバランスを把握するわけですね。



誘ってくれた社長は40代後半なんですよ。



元請けの人も30代前半かな?って感じでね。



この時点では僕が誘われた理由もまだわからないわけですよ。



全員揃ってないけど先に店に入ることになってね。



店は和風のしゃぶしゃぶ屋で、12人が入る個室だったんですよ。



テーブルが横並びで、足元が掘ってあるタイプの。



席順があるって聞いてたから僕は入り口付近かなと。



それで青社長が一番奥の席で、その向かいに元請けの人が座ったんですね。



誘ってくれた社長は青社長の隣に座って、4人掛けのテーブルが3つ横並びになってるわけでさ。



一番奥のテーブルの空きは残り1つだけど、まぁ僕ではないなと。



僕の席はどこすかね?思ってたら、まん中のテーブルだったんですよ。



誘ってくれた社長の斜め向かいの席だったんですね。



これ僕の思ってた“つなぎの感じ”と違うなと。



人数合わせで呼ばれた感じではないぞと。



僕の出した答えでは、時間つなぎの軽い気持ちで来てくれればいいよって思ってたからね。



青社長の主宰の打ち上げみたいな飲み会で、応援に行った僕にも社交辞令で声を掛けてくれたと思ってたからね。



社長が残りの人たちを迎えに席を外してる間に、青社長から銀座にあるお洒落で美味しいしゃぶしゃぶ屋の話を聞かされてね。



店のある場所の詳しい話をスマホを見せながら元請けの人と僕にしていたけど、僕がその店に行くことは絶対にないだろうなと。



ひょっとして場違いのとこ来ちゃったか?と。



そんで全員が揃ったわけですね。



なんでか女性の方も一人だけいて、それが夫婦みたいで、僕の向かいに旦那さん斜め向かいにその奥さんみたいな席順でね。



わけがわからんなと。



乾杯の挨拶でようやくわかったのは、誘ってくれた社長と仕事で繋がりのある人たちが集まった飲み会だったんですね。



僕は他の人達とは2回くらいしか面識がないわけですよ。



去年の2日間と今年の2日間くらいしか仕事では関わってないからね。



僕は日曜日だけ応援に行っただけだったからさ。


あんまり喋ってないから。



誘ってくれた社長とも飲み会は初めてだったからね。



つなぎの感じってのは会話の緩衝材みたいな役割だったみたいでね。



僕の左に座った人がゴリゴリの職人気質の人でさ。



その人の左には誘ってくれた社長の会社の若いやつが座って、若いやつに熱く仕事を語るわけ。



女性が飲み会に1人いることで仕事について熱く語る会になるとクソ面白くないからだろうね。



こういう場に人妻がいると楽しくないのよ。



下ネタ禁止だし、旦那さんにも気を使うからね。



鍋が2つあって1つは奥さんがやり始めたのよ。


もう1つの鍋は僕がやろうと。



奥のテーブルは社長二人に元請け二人だからさ。



他の人達は個人で一人親方(フリーランス)をやってる感じなのよ。



鍋を作るのも誘ってくれた社長の会社の若いやつが入口側のテーブルに1人だけいるだけでね。



まぁ女性としてはあっちの鍋は向かいの席の奥さんがやるわなと。



そんでこっちも鍋奉行みたいな仕切り屋もいない感じなんで僕がやろうと。



もちろん僕は、しゃぶしゃぶ鍋の正解は知らないけどね。



酒の名前とかも飲まないから全くわからなくてさ。



仕事と同じ感覚で奥さんの手順を真似するわけですよ。



キャベツから先に入れてきゃいいんだなと。



で、キャベツを全部入れ終わって奥さんの方の鍋を見たら、キャベツ全部は入れてないわけ。



ウソだろ!?と。



キャベツ半分残しでネギを入れてるわけよ。



そりゃねえだろと。



で、なぜか奥さんもこっちの鍋の様子を伺ってるわけよ。



いやいや、僕も正解は知らんよと。



旦那さんがいるから人妻に何も言えないわけですよ。



これは頼りにならんと、残りのネギも全部入れて男らしく煮込んだわけですよ。



灰汁が出たら取ればいいんだろうけど、灰汁を取ったからって味の違いとか正直、僕にはわからないけどね(笑)



だけどなんでか僕の鍋は灰汁が出なかったのよ。



奥さんの方は灰汁が出てて取ってたけど。



奥さんがやっかいだなって思ってさ。



顔は好みのタイプなんですけど、色白で一重なのエロくて僕は大好きなんですけど、目の前に旦那さんがいるからね。



そんで僕よりも年上なんですよ。



しかも、この奥さん職人として現場にも出てるらしくてさ。



厄介だなと。



僕から右側の人達はいい感じで喋って笑えるわけですけど、僕の左側はずっと若いやつに説教してるわけでね。



こういうことかと。



誘ってくれた社長が個人的に喋ってる間に他の人達との会話のつなぎをしてくれってことかなと。



左の職人気質の人はガンガン酒を飲むわけ。



そんで若いのに説教するわけ。



僕の経験上この手のタイプの人はビール瓶で後頭部を引っ叩いて気絶させるしか説教を止める術はないわけですよ。



そんで、人妻の奥さんも悪いのよ。



「前回の飲み会の時にも『満月満月屋とはなんぞや?』って熱く語ってくれて、わたし凄く感動しました」とか言うわけさ。



若いやつが職人気質から“死ね”とかボロクソ言われてても奥さんが助け船を出さないのよ。



「私も家でこの人(旦那)から全く同じこと言われるよぉ」って鍋を取り分けながら言うのよ。



いや、正確には職人気質の人の説明が下手クソなんだけどさ。



若いやつに「ノートちゃんと取ってんのか?」大声で言うわけ。



「ノートだよ、ノート!!だからお前は仕事が出来ねえんだよ!辞めちまえ!!」って吠えるわけ。



これはいかんと。



僕から若いやつに聞いたわけよ。



「ノート?…もしかしてノートって、デスノート?」



そしたら若いやつがちゃんと返すわけよ。



「いや、デスノートなら毎日ちゃんと書いてますけどねっ!!」ってさ。



これはウケるわけよ。



僕のフリをちゃんと理解してるわけで、バカじゃないからね。



職人気質の人が酒を注文してトリプルって言ったから聞いたの。



トリプルってなんすか?と。



そしたらグラスを指差して「これぐらい」って言うのよ。



やっぱ説明が下手クソなんだなと(笑)



でも悪い人ではなくて、2日間だけ一緒に仕事した時も少ししか喋らなくて、その理由が、実はオレ競馬で負けてて機嫌がずっと悪かったんですって何回も謝ってくる感じでさ。



つなぎ役として貢献できたかわかんないけど、楽しい飲み会でしたね。



会費も誘ってくれた社長の奢りで本当に楽しかったなぁ♪