洗えない話。2 | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

洗濯機の修理に若い兄ちゃんが部屋に来てくれた話の続きなんですけどね。



まあ、彼はメーカーを代表して客から怒られに来ているようなもんじゃないですか。



だけど年下のやつに怒っても根本的な問題の解決はしないわけでね。



彼もなんか僕の部屋をキョロキョロと見てるのよ。



人間も動物だから環境で生き抜く為の知恵を身に付けるわけだよ。



修理に行った客先で怒られないようにするにはどうしたらいいのかと。



修理とは別の話題で客と親しくなれば、そこまで怒られたりはしない説みたいな感じなのかな?



会話のネタを探してるような雰囲気なのよ。



金銭的なトラブルに発展しても出来るだけ示談になるような努力をしましょう!みたいな社内研修を大手起業だから当然やってると思うのよ。



そんでさ、これが主婦とかだったら若い男が部屋に来るだけで喜んじゃうわけじゃん。



なんなら出張ホストみたいな感覚でいると思うんですよ。



それで部屋というプラベート空間を誉められたら嬉しいじゃない。



ちょっとした部屋にある小物とかキャラクターを誉めると思うのよ。



誉めてからの僕も好きなんですよってパターンだろ?



女子にはそれが通用すると思うよ。



なんだかんだ言ってもあいつら母性本能があるから優しいわけじゃん。



なかには育児放棄するタイプのやつもいるけど、それでも他人には優しいからね。



だけど、独身男の部屋には誉めるとこなんてないからね。



まず洗濯機が2台あることに触れない時点でアウトだよね。



そこを越えてくる興味って普通はありえないよね。



それでも若い子はキョロキョロしてるわけ。



こっちは洗濯機の話がメインだからその会話に集中してないことはわかるのよ。



あまり掘り下げたくないんだろうけど。



そしたら若い子が僕が冷蔵庫の上に置いてる仕事で使うペンとか資格証だとか仕事中にポケットに入れて携帯してる物を見たんだろね。



それは作業着を洗濯する前に出すから冷蔵庫の上に置いてるわけだよ。



そんで、その資格証を見た瞬間に彼がそっちを向いたまま言うならわかるけど、振り返って洗濯機を見てる僕に言うわけよ。



満月満月の資格持ってるんですね」って。




キモいわ。



それはちょっとキモいわ。



資格証も汗で濡れるから小さいビニール袋に入れてるから、そんな中にある読みにくい文字を読むってちょっとキモいわ。



僕の中の乙女心としてそれはないわぁ。



おっぱいの大きい女の子に対して「乳輪も大きいんですね」って言う感じだよ。



乳輪が見えててもそれは言っちゃダメじゃないの。



会話の糸口ってそういうことじゃないのよ。



女の子のおっぱいが大きくてね、それを的確な言葉で誉めたとしても正解じゃないのよ。



本当の正解は勃起しちゃうからね。



仕事を忘れて勃起しちゃうから。



興味に対する反応の純粋さってのは嘘がつけないからね。



何でもかんでも誉めればいいってわけではないのよ。



女の顔なんてのも化粧とか整形をしてるわけでさ。



それはブサイクな男から誉められる優越感でしか成立してないのよ。



僕が女性の顔を誉めたとしても相手の本音は“男なのに私より可愛いのがムカつく”なのよ。



整形してる子は整形してる相手のことがわかるらしいね。



目とか近くで見たらわかるらしいの。



そもそも、こっちはそういうことには興味がないわけでさ。



下手に誉めるってのはよろしくないのよ。



どんな誉め言葉よりもキスした方が相手に伝わるわけですよ。



言葉に出さなきゃ伝わらないからねって言うけど、それを相手が言い終わらないうちにキスをする、そういうことでしょ。



愛情表現って照れもあるから難しいけどさ。



お盆で実家に帰った時にさ、母親にハグしたら喜んでたからね。



こっちに帰る支度が終わって、玄関先で母親と別れの挨拶をしてたのよ。



父親は車を駐車場に取りに行ってたから、父親の妹と母親が玄関先で僕をお見送りしてくれたわけ。



高卒で上京してからもう十数年になるけど田舎に帰る度に母親とはこういう「体に気を付けてね」とか「元気でね」みたいな別れの挨拶をしてるわけですよ。



それが今回は親父の妹、つまり僕の叔母さんである満月満月姉ちゃんも一緒にいたわけ。



挨拶して玄関から僕が出ようとしたら、その満月満月姉ちゃんが言うわけさ。



「ハグでもしたらいいのに~」って。



親戚の叔母さんってのは、こういうのぶっ込みがちなんですよ。



外国人じゃないからね。



日本男児として育てられてるわけだからさ。



母親とハグするなんて息子からしたら嫌なのよ。



思春期の反抗期を過ぎたとしてもなんか照れ臭いじゃん。



末っ子としては本当は猛烈に甘えたいんだけど、そこを捨てなきゃ自立はできないわけですよ。



子供の頃の兄貴とは母親に対しての立場が逆転するわけよ。



そういうことも理解できる年齢になったわけですよ。



とはいえ、ちゃんとした親孝行が何か出来てるわけでもないのよ。



僕は独身ですからね。



母親もババアだからいつ死ぬかもわからないのにね。



だからいつまでも照れててもしょうがないなと。



だけど、うちの母親もそういうのは嫌がるタイプなのよ。



自分の母親を女として見ることはないからね。



若い頃なんか特にさ。



だけどそれも全部引っ括めて感謝しなきゃいけないわけだよ。本当はさ。



子供が道を踏み外さないように自分の弱さを隠して嫌われ役をしてくれたわけだからね。



玄関先で振り返って「しょうがねえなぁ」って僕から母親に歩み寄ったわけよ。



母親も「いいよ、いいよ」って言うんだけどね。



だけどハグしたら結果はこうだよ。



母親「キャー」
叔母「キャー」



長生きしてもらいたいもんですね。



そんで親父に駅まで送ってもらう車の中で、満月満月姉ちゃんに言われて母親にハグしたら喜んでたって話をしたわけ。



そしたら親父が「俺も婆ちゃんが死ぬ前にハグしたかったなぁ」って言うのよ。



お盆だから余計にそういう気持ちになるんだろうけど。



それでうちの母親もああ見えて女なんだねって話を親父にしたら



「じゃあ今夜は俺がハグしてみるか」って。



いやいや(笑)、息子としては両親のそういう話を受け入れられる境地にはまだなれないからね。



で、何の話だっけ?



修理の話だったね。



だから修理に来た若い兄ちゃんだけどさ、一生懸命に修理してそれで直ったらお互いにハグ出来ることがハッピーエンドだと思うんですよ。



コミュニケーションなんてのは立場はどうあれ、ハグ出来る関係になれるかどうかじゃないですか。



この若い兄ちゃんは最後まで謝罪の言葉はなかったからね。



会社からそういう教育を受けてるとしか思えないよ。



別に俺が作ったわけじゃねえから謝る必要ないでしょってレベルのやつなのかわからんけど。



機械の修理よりも客のココロの修理をすることの方が大切だと僕は思うけどね。



エラーランプの点滅の種類と壊れてる洗濯機の症状を伝えて、実際に動作確認をしたら「なるほど」って修理の兄ちゃんが言うわけだ。



排水弁のモーターが壊れてますねと。



すぐに車から排水弁のモーターを新品のやつを持ってきたわけよ。



モーターが壊れるって感覚的にありえないわけですよ。



僕は建設業の職人ですから回転系の工具も使いますからね。



必要以上の負荷が掛かかるとモーターが焼けることはあるわけですけど。



洗濯機ですから基盤で制御をしてますからそれはありえないわけですよ。



洗濯層を回すモーターの軸が曲がるとかならまだ理解できますけどね。



排水弁の開閉は洗濯した回数でしかないからね。



つまり、不良品でしかないわけよ。



考えられる理由を彼に聞いたわけ。



そしたら湿気の多い場所に洗濯機が置いてあると接触部分が腐食して壊れることがあると。



浴室に洗濯機を置いてる場合だとありえると。



だけど僕は浴室に置いてないし、接触部分も腐食してませんよね?と。



僕からしたら素直に謝ったらいいじゃんって話なのよ。



実家にあった古い洗濯機を持ってきてるわけだから、僕的には“洗濯が出来ない”というストレスからは解放されてるわけだからさ。



君が仮に直せなかったとしても怒りのピークは過ぎてるわけよ。



自分の怒りの感情は何が本質かと言ったら、それは洗濯が出来ないことだからね。



洗濯することは可能になったわけだ。



そこのストレスはもうないわけよ。



安心感があるからね。



生活という営みを安定させることが生きる上での最低限の安心だからさ。



古い洗濯機の配達代で4300円も掛かってるわけだけど、格安のピンサロなら行ける金額なわけだけど、感情を金額で現す感情は最初の感情とは違う感情なわけでね。



これから先どうするかって話のが重要だよね。



そしたらその排水弁のモーターは中国製だって言うわけよ。



コストを下げる為にどうしてもそうなると。



なんとなく作った中国人が悪いみたいな言い方にも聞こえるけどね。



だけど、東芝は中国に買収されるって彼は言うのよ。



この話はどっちにも取れるわけ。



中国の逆襲って見方と、東芝のピンチを中国がそれを義で返したという見方もできるわけじゃん。



彼としては会社が潰れても、こういう仕事はなくならないから別の会社でもやっていけると。



基本的に家電の寿命は7年だと。



だから5年保証ってのはむしろ生産側の保険だよね。



排水弁のパーツを交換したら直ったのよ。



手のひらサイズのやつだよ。



そのモーターを作ったのは中国の会社だから東芝の責任じゃないよって感覚なわけさ。



書類だとか裁判ではそこが重要なんだろうけどさ。



この感覚で原発も東芝が作るのはやめてもらいたいよ。



破損したパーツを製造したのは自社の製品じゃありませんって言い訳は聞きたくない。



僕よりも若い年齢の従業員が東芝を辞めても他の会社でって感覚がリアルでなんか悲しい。



昔の東芝って君が思ってるよりもっと凄かったからね。



週2でサザエさんやってたからね(笑)



あのコストが無駄だった傾向は昔からちょっとあるね(笑)



夏場はエアコンの修理が優先みたいね。



熱中症とかで赤ん坊や年寄りは死ぬからね。



原発のリスクも同じなんだけどね。



終身雇用じゃなくなったから、これからの時代はこういう無責任が当たり前になるのかもしれない。



企業のイメージも悪くなると洗えない話だなと。



使える洗濯機が2台もあるけど困ったもんだ。



いくらなんでも洗濯機の2台持ちってのは、女にモテないと思うのよ。



水を溜めて中で金魚でも飼うか。



それか洗濯機の回転を生かすなら、ハムスターを飼うかだよな。



その日の気分で使う洗濯機を替えてる意識高い系を目指すとかね。



靴みたいに洗濯機をたまには交換して、洗濯機を休ませてあげてるとかいうアホみたいな感じでさ。



使う柔軟剤の香りに合わせて洗濯機も取り替えるとかね。



元カノが使ってた同じ洗濯機では洗うのヤダってパターンとかもあると思うのよ。



愛人専用の洗濯機とかさ。



それか本格的なしゃぶしゃぶ好きの女の子ね。



洗濯機に熱湯を溜めて、自動しゃぶしゃぶ機としてさ。



これ何?と聞かれた時の返しで、最もお洒落な答えとしては「これ?これはスムージーを作るやつだよ」