天狗と河童~先輩の嫁をまんぐり返し~ | 天狗と河童の妖怪漫才

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妖怪芸人「天狗と河童」の会話を覗いてみて下さい。
笑える下ネタ満載……の筈です。

憂鬱(ゆううつ)なことブログネタ:憂鬱(ゆううつ)なこと 参加中





天狗「憂鬱なことっていうか腑に落ちないことがあったのよね」



河童「なにかあったの?」



天狗「職場の先輩が腰痛で休んでたのよ。その先輩は職長と呼ばれるポジションな訳よ」



河童「職長が休むと現場は回らなくなるからね」


天狗「そんで職長から仕事中に電話があったのよ。まぁ正確には俺が電波の届かない場所で仕事をしてたから暫くして着信履歴がメールで送られてきたんだけどさ」



河童「きっと心配して電話をくれたんだね」



天狗「それか重要な要件かもしれないから、折り返しの電話を職長にかけたのよ」



河童「実際の着信があった時間はもっと前だもんね。それで?」



天狗「そしたらさ、職長の電話に女の人が出たのよ」



河童「ん?どういうこと?」



天狗「俺も仕事モードで電話を掛けてるから、想定外の女の人の声に一瞬思考が途切れる訳だよ」


河童「女の人はなんて言ったの?」



天狗「『○○の携帯です。電話がきたら後で折り返すと伝えるよう言われてます』…即座にこう言われたのよね。お前ならこれを一瞬の判断でどう捉える?」



河童「奥さんだよね?職長は腰痛で病院に行って診察中なんじゃないの?」


天狗「俺もそう思ったよ。99%は奥さんだと思ったよ。でも奥さんとは面識がないから声はわからない訳だよ」



河童「奥さんですか?って聞けばいいじゃん」



天狗「そこなんだよ!仕事の出来る後輩ならば『○○さんの奥さんでしょうか?いつもご主人にはお世話になっております…』的なスマートな会話をするよな?」



河童「社会人として当然の礼儀だよね。病状を心配するとかさ」



天狗「ただね、本当に仕事の出来る後輩というのはそうじゃないんだよ。この瞬間的な状況判断で奥さんだと仮定するのは大人の世界では1番やってはいけないことだからね」



河童「奥さんじゃない可能性があるってこと?浮気相手とか?」



天狗「そういうことだよ。少ない情報量から瞬時に答えを導き出すことが正解ではないのだよ。それどころか『○○さんの奥さんですか?』などと、面識の無い相手にこちらから妻帯者である情報を与えてしまうようでは後輩失格なのだよ。本当の意味でのリスクを回避することが一流の後輩なのだよ」



河童「でも奥さんだった場合に挨拶をしないことは失礼だよね?礼儀知らずの後輩だと思われるし、先輩の旦那としての顔も立たなくなるよね?」


天狗「それは自分のちっぽけな見栄と常識的な判断力への驕りだよ。後輩とは自分に100%非がなくとも謝罪することから始まる。選択肢の決定権は先輩に委ねる。これらを暗黙の了解で遂行してこその信頼関係なのだよ」



河童「じゃあさ、その電話に対して何て答えたの?」



謎の女『○○の携帯です。電話がきたら後で折り返すと伝えるよう言われてます』



天狗「あっ、そうですか、わっかりました~」



河童「アホな後輩丸出しじゃん」



天狗「何一つとして情報を与えない。それでいて深追いしない引き際のよさ」



河童「これで奥さんだったら旦那に電話があったことを伝えるよね?
『あんたの後輩さ、アホ丸出しだったわよ。普通なら“いつもお世話になってます”とか“病状の方は大丈夫ですか?”って心配の声の1つくらいあるわよね?』」



天狗「そこはね、俺も考えると憂鬱になるのよ。職長は浮気なんかするような人ではないからね。何かがおかしいと」



河童「お前がおかしいんだよ」



天狗「浮気じゃなくても誤解をまねくこともあるんだよ。女はクレイジーな生き物だからな。仕事とプライベートは別だし、職長が無事に職場に戻ることが正解な訳だよ。俺が謝って済む次元のことに価値はないからね」


河童「じゃあ一体、何がおかしいのよ」



天狗「職長は頭のキレる人なんだよ。なんでこの仕事をしてるのか理解できないくらいに。全てに突っ込んでいくタイプなのよ。誰しも責任からは逃れたいから、自分の力量以上の仕事を背負わないことが本当の責任感だと言い訳するんだよ。でも同じ職場にいる限りは100%責任がないってことは有り得ないからね。職長はそれを100%背負うのよ。責任感の塊なのよ。漢気のある人なんだよ」



河童「それで何がおかしんだよ!」



天狗「そんな職長の奥さんならさ『主人がいつもお世話になってます』って言うだろ?そのセリフがないことに俺は“奥さん説”を疑う訳だよ」



河童「なるほどね。仕事に熱心で浮気をするような先輩じゃない。そんな先輩の奥さんなら電話の作法くらいは徹底して然るべきだと」



天狗「そうなのよ。だから腑に落ちなくて、モヤモヤしてて。だからそれを休憩の時にみんなに話したのよ。みんなはどう思う?と」



河童「浮気なのか、ただのダメ嫁なのかと」



天狗「この2択は正解がどっちでも笑えないだろ?俺はちょっとそういう逃げ道がないの苦手だからさ、モヤモヤしちゃってね。そしたら職長よりも年上の先輩がズバリ答えを出したのよ」



河童「その先輩はなんて言ったの?」



天狗「嫁も電話の相手が誰なのか疑ってるんだと。探ってるから嫁も余計なことは言わないんだと」



河童「なるほど」



天狗「こんな正解は俺には予想できなかった訳でね。これだと奥さんにも可愛げが見えるじゃんか。根底には愛があるわけだよ。俺と先輩の奥さんは、お互いに探り探りの一瞬の会話だったけど、そこには先輩を想う気持ちと旦那を想う気持ちがある訳だからね。これにはみんな爆笑したよ」



河童「これは深いね」



天狗「でも年上の先輩が家庭を持ってる人としての説得力がなかったら笑い話にはならなかったね。あとは女心ってもんをちょっと勉強したなあ。ダメな女と吐き捨てるんじゃなくて、ひっくり返して見ないとダメなんだってさ」



河童「まんぐり返しってことだね」



天狗「そうじゃねーよ!!バカヤローッ!!」