参加者21名(内1はグループ)なので、全作品は紹介しきれません。正直、お目当ては3作品くらいだったのですが、もう、ほとんど全てに圧倒されてしまいまして!2時間強も見て回ってしまいました。
圧倒ナンバーワンが、この方です。
弓指寛治(ゆみさしかんじ)さん。
1986年三重県伊勢市生まれ。若い!
このモノローグを読むと、弓指さんは上野界隈のホームレスの人たちに対してまったく未知の分野だったのですよね。なのに、この先展開される一連の作品群はとにかく圧巻でした。まるで立体型ドキュメンタリー作品。素晴らしかったです。
左上:この企画を持ってきた新藤淳さん。上り階段の壁からストーリーは始まっていました。キャンバスがテントというところも洒落ています
右上:絵の周りにあるスピーチバルーンで、その絵から発せられる会話が聞こえてきます。書き文字も味があって凄くいい
左下:「多田さんと觀二(カンジ)さん」と題したホームレス多田さんへのインタビューから作成されたドキュメンタリー作品です
右下:展示方法が一辺倒ではなく、かつドラマチックで飽きさせません
この「多田さんとカンジさん」には参りました。読み終えて最後、ウルウルしちゃいました。ストーリーのみならず、弓指さんのココロ優しい視線が絵に上手く表現されていたと思います。
ホームレスに取り囲まれて
自分もその中にいるような感覚に陥ります
(視線が熱い!!!)
ホームレスの方たちに「何の接点もなく…」と仰っていた新藤さんでしたが、このプロジェクトを通して弓指さんとお弁当配布のボランティアに行ったり、インタビューしたりしたようです。その辺りもまた作品として残されていて…
知られていたんですね(笑)
天井から大きく吊り下げられた絵
新藤さんが山谷から国立西洋美術館へ帰って行くようです
すると次に現れたのが!!
竹村京(たけむらけい)
《修復されたC.M.の1916年の睡蓮》
背後にあるのは松方コレクションのひとつ、クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》です。上半分が欠損しています。
1910年代終わりから1920年代にヨーロッパで集められた松方コレクション。多くは1920年代に日本に来ましたが、400点ほどはロダン美術館に預けられていました。
第二次大戦中、パリでは危ないからと、農家の納屋にしまわれていたようです。
このモネの《睡蓮、柳の反映》は、おそらく上半分が納屋の地面についていて地面からの湿気でなくなってしまったのではないかと推測されます。
(館長さんの講演会でのバーバメモより📝)
作品の全体像が確認できるのは欠損前に撮影されたモノクロ写真のみでした。それを国立西洋美術館では欠損部分はそのままにしながら、約一年かけて修復したそうです。
竹村さんは、株式会社NTT ArtTechnologyと株式会社アルステクネで制作した高精密デジタルプリントをアトリエに運び「釜糸、絹オーガンジー」を用いて欠損部分を修復されました。
ぜひ、ビヨ〜ンして見てみてください
光を捉えようとしたモネ。その光を「糸」で更に生き生きと、見事に表現されていました。近くで見るとキラキラと光を反射して本当に素敵なのです。先般の「ゴッホ・アライブ」の入口のように、これに見合ったアロマが香ったら尚いい感じだなと思いました。(と思ったら!売店にモネの「睡蓮」をイメージしたオード・トワレが販売されているじゃありませんか!どんな香りなのか気になります。次回行った時、サンプル嗅がせてもらおう。アトマイザータイプもあったので、気に入ったら買おう。ふふ)
今回、美術館入り口にはこの高性能デジタルプリントを利用した「フローティングギガビューワー」なるマシンも置いてありました。タッチパネルではなく、文字通りフローティング、浮いてるのですタッチパネルが。浮いているのにスマホみたいに左右前後動かせるし、親指人差し指のピンチで大きく拡大したり小さく戻したりもできます。ま、タッチパネルの方が触った感があって操作しやすいですけど、浮いてる感じが雲を掴んでいるようで新感覚
順不同になってしまいましたが、小田原のどかさんの作品もなかなか見応えがありました。
靴を脱いで赤い絨毯の上に上がります
揺れる、壊れる、検討し直すの蓄積が、五輪塔に現れているのではないか─ということらしいですが、この五輪塔、一見すると男性の象徴にも見えてえ?私だけ?\(//∇//)\ 真っ赤な血潮色で、生命力、頼もしさがみなぎっていますね。
転がってる五輪塔の一つ一つはご自由にお座りくださいになっていたので、私も座ってちょっと休憩
座った位置から《考える人》の裏側が丸見えです
主人のいない台座
国立西洋美術館が作った免震性の台座は、トップに三つの穴があいていました。あっちで寝転がってる主人の裏側の大きな穴3つと重なります
鷹野隆大(たかのりゅうだい)さんの作品も面白かったです。
美術館という特別な場所に収まっている絵画を普通の場所(ここではIKEAの家具)に置かれたらどう見えるか?という実験的なもの。
右下のアーティストさんの部屋では
油絵も裸の絵も違和感なく溶け込んでいます
館長さんの講演会で、アングルとラファエロの絵を並べたり、マネとティツィアーノの絵を並べて見せたりしながら、古典絵画の模倣から自分が今生きている現代社会に取り込んで新しいものを生み出していったんですよというお話しがありましたが、そのように、国立西洋美術館所蔵の絵画と実際に横並べして展示されている作品も多々ありました。
中でも気に入ったのはこちらです。
左:坂本夏子《階段》
右:ルノワール《木かげ》
来たる5月11日(土)には、この展覧会を企画した新藤淳さんの講演会が、これまたZOOMウェビナーで開催されます。もちろんコンサートチケット争奪戦で培われた俊敏さで(←しつこい😅)募集開始とともに席を取りましたよ。
アーティストさんへのお声がけから準備、展示のみならず、実際にご自分でもホームレスの方々の中に分け入り奮闘されました。どんなお話が聞けるかとても楽しみです。
まだ、少しお席があるようです
無料ですよ、是非