「ガラスペンでなぞる文学の小道」、お次も海つながりで『月夜の浜辺』by中原中也に挑戦!
繰り返し出てくる「月」だけを輝かせてみようと思いましたが、ちと難しかったデス…。
へへ、雰囲気、雰囲気ぃ〜
書体:ユトリロ M(フォントワークス)
用紙:HSライトフォース
筆記具:ガラスペン ふわり(硝子工房YUKI)
インク:月夜・蛍火(PILOT 色彩雫)
『北の海』で見せた白飛沫をたてる鉛色の海とは対照的に、静かに佇む大海原を煌々と照らす月の光は、宮本浩次の言葉を借りれば「恥ずかしくなるほど美しい」ですよね
中也がそこで拾ったボタンはどんなボタンだったのでしょうか。
この詩を読んで、私は母の「グロンサン錠」のプラスチックの空き瓶に入ったボタンを思い出しました。
私が中学生の時はじめて一人旅するのに買ってもらったワンピースのピンク色のボタン、子供の頃母がよく着ていた手編みのカーディガンのみどり色のボタン、兄か誰かのワイシャツのボタン…。懐かしいボタンがいっぱいです。
「指先に沁み、心に沁みた」とありますが、中也の拾ったボタンにも、私のようにそれを見て、愛おしい記憶を想起させるような何かがあったのかもしれませんね。
たかがボタンだけれど、見方によっては何にも勝る宝石だったりします。
「月に向かって抛れず、浪に向かって抛れず…」
グロンサン錠のプラスチックの空き瓶に入ったボタンたちは、もうこの先使われることはないけれど、月に向かって放れず、波に向かって放れず…なのです。