のめり込むと止まらないニコニコアセアセ

本日3本目の「ガラスペンでなぞる文学の小道」。中原中也の『また来ん春……』をなぞってみました。



書体:秀英丸ゴシックL(モリサワ)

用紙:HSライトフォース

筆記具:ガラスペン ふわり(硝子工房YUKI)

インク:アンティークブーケ・ビルマの琥珀(エルバン)



エルバンのインクは少々水っぽいので、たっぷりインクをつけてペン先を幾分浮かしながら書いてちょうどいい感じでした。



ということは乾きが遅く、浩次って(※)しまったところもありましたが、ガラスペンの幅にちょうど合ったゴシック文字だったので、割りと上手に書けましたチョキ気づき



(※)【浩次る(ひろじる)】

まだ乾いていないインクの上を手で触ってしまい紙を汚すこと。宮本浩次がよくやっているところから生まれた言葉。たった今、生まれた(笑) 失礼極まりない🤣🤣🤣



この詩は、中原中也が目に入れても痛くないほど可愛がっていた長男の文也くんが、2歳になったばかりの時に急死してしまい生まれたというものらしく、「象を見せても猫(にやあ)といひ、鳥を見せても猫(にやあ)だった」というところに、2歳に満たない年齢だったことがしんしんと感じられてきて泣けますね😢



このページにはない続きがありますので全文載せます。



また来ん春……
中原中也


また来ん春と人は云ふ
しかしわたしは辛いのだ
春が来たつて何になろ
あの子が返つて来るぢやない

おもへば今年の五月には
おまへを抱いて動物園
象を見せても猫(にやあ)いひ
鳥を見せても猫(にやあ)だつた

最後に見せた鹿だけは
角によつぽど惹かれてか
何とも云はず 眺めてた

ほんにおまへもあの時は
此の世の光のたゞ中に
立つて眺めてゐたつけが……



象を見ても、鳥を見ても「にゃあ」だったのに、鹿を見たら黙りこくって見つめてたんですね…😢 まだこの世で見たことのないものがいっぱいいっぱいあったのにね…



逆縁はかわいそうです…



なぞり書きに話を戻し、この用紙は薄いクリーム色の地に水玉模様が白ヌキされているため、インク文字に勝手に濃淡が生まれて、そんな揺らぎが絵の朗らかさとも良くマッチして、全体的に詩の内容にある儚さやうつろいがうまく表現できたように思います。



そこまで計算されていたかどうか知りませんが、だとしたら、このグラフィック担当者ヒジョーに素晴らしいですねキラキラ (あ、また浩次ってしまいました。ここでの「浩次る」は「ヒジョーに」を使うことです笑)



フジファブリック志村くんの書く詩が大好きで、『志村正彦全詩集』なんてものも買ってしまいましたが、志村くんの詩は中原中也に似てると称する方が多勢いらして、ここにある10篇の詞を読んでみて、なるほどな─と思いました。



《志村くんの詩が好き=中原中也の詩が好き》な感じなので、中原中也の特集ページがあるこのなぞり書き本は、ほんと、優れものラブラブ 



まだまだ楽しみです。