引越し前日、いよいよ部屋は空っぽになってしまった。あるのはアンドレアが引き取ってくれるサイドテーブルとパイプ椅子、そのテーブルの上にのっかっているラップトップ。着替えの入ったスーツケースに寝袋。後はNorahのベッドやらカリカリなどの必需品。


ガレージには粗大ごみが山積みされていた。粗大ごみはディスポーザブル・カンパニーに電話をすれば、もっていってもらえるはずだったのに、私がその電話をしたばっかりに、大家さんがディスポーザブル代を払っていなかったと判明し、普通のゴミまで持っていってもらえなくなってしまったのだ。道理で、以前の住人が粗大ごみをガレージに置いていったわけだ。


他のみんなだって困る。アンドレアが引き続き大家さんに訴え続けるという役目を背負って、私の粗大ごみもあわせてガレージに山積みされていた。


まさかこんなものという、超古型炊飯器を、スージーは「これ、もらってもいいの?欲しかったんだ~」と、ちょうど自分のは壊れてしまったからと言ってもらってくれた。保温機能もついてない、ドラッグストアで12ドルくらいで買ったものだ。ピッツバーグからサンフランシスコに越してきたばかりの頃は、アパート空き率0%というという時で、ホテル住まいの後、レジデンスホテルで生活していた。キッチンがなかったけど、洗面所はあったから、その炊飯器でできそうなものをいろいろ作って食べてたのだ。ご飯は炊ける。ツナ缶にマヨと醤油かければごちそうだ。お味噌汁もできたし、野菜のスチームだってできた。中華まんもあれで食べたし、懐かしいなあ~。


部屋は空っぽなのに、自分の知った匂いのものはガレージにある。Norahはしょっちゅうガレージに行きたがった。でも、しばらくすると、しかたなさそうに戻ってくる。そうよね、落ち着かないわよね。


うろつくノーラ2

何が起こってるんだよ~。

うろつくノーラ1

いつもは入れてもらえなかったウォークイン・クローゼットも空っぽだ。