ANDY PAWLAK / Shoebox Full Of Secrets | noramemo
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ANDY PAWLAK
Shoebox Full Of Secrets (1989)

 プリファブ・スプラウトと同じニューキャッスル出身ゆえか、1人プリファブなんて揶揄されることもしばしば、なシンガー・ソングライターのメジャー・デビュー作、そしてソロとしてはこれ以降音沙汰がなくなってしまうということもあって、伝説の、なんて常套句を用意したくもなるのだが、そういった大袈裟な物言いが似合わないばかりか、知る人ぞ知る、なんてマニアックな視点からも浮いた存在感を匂わせるという微妙さを、今となっては唯一のこの手がかりから感じ取るのだけど、とはいえアルバムの内容が微妙というわけではなく、むしろ極めて高い完成度を誇るポップなアルバムである。

 メロディは繊細そのもの、プリファブ・スプラウトやアズテック・カメラと比較されるのも納得の洗練されたプロダクションで、程よく切ない空気感を作り出す。超人的な資質を感じさせるものではないものの、むしろ個人の印象を強く押し出すことよりも、楽曲自体のクオリティの高さを優先させた結果、流行り廃りの大きいポップスのシーンで浮かび上がることなく消えていったのだろうと想像するけれど、ひそみに倣うようなところが見られない分、古臭さを感じることなく聴くことのできる中庸な美意識溢れる傑作となっている。

 このアルバム発表後、あっさりと契約を切られた彼は単身渡米し、ヘリコプターの操縦免許を取得、そのままインストラクターになったという。数年前にワーナーから新作を出した、という話もあったらしいが、本当にリリースされたかどうか定かではない。



Secrets



Mermaids



All That's Left Of Me



Love Letters