LOL COXHILL/MORGAN FISHER
Slow Music (1980)
昨年の夏に亡くなった分類不可能唯一無比なサックス奏者ロル・コックスヒルの演奏を素材として、世界各国の様々なミュージシャンやパフォーマーに各々１分を条件に曲を提供してもらって編み上げた名作企画盤『Miniatures』の発案者でもあるモーガン・フィッシャーが仕立て上げた極上のアンビエント・ミュージック。
ただ流れてくる音にぼんやりとしてしまうので、あれこれと書くことなど無いのだが、このゆったりとした美しさに、明ける、もしくは暮れる、始まる、ないし終わるというふうな、対極的な状況をぼやかし、うやむやにし、最終的には大目に見るというおおまかさを感じ取るのだが、もちろんそれは雑に流れてくるわけではなく、きちんと要点を捉えたしっかりとした手応えのある音として、アルバムのタイトル通りの印象を聴く者に与える。音色が、ふとしたときに滲んだり、はたまた澄んだり、それぞれ重なりあいながら、また離れていったり、といったことを繰り返しながら果てなく続いていきそうな残響の余韻に浸りながら、気がつけば街の雑踏の中、呑気な鼻歌で幕が下りる、というエンディングも実に良い。愛聴盤。
動画サイトにありませんでした…。