
RUFUS HARLEY
A Tribute To Courage (1968)
ジャズ界唯一無二のマルチ・リード、バグパイプ奏者であるルファス・ハーレイの1968年作。ジャズでバグパイプというところに、まず面食らうわけだが、これは一種の企画モノにありがちな珍奇さとは無縁の硬派なアルバムであり、彼の器用さを存分に味わうことができる。バグパイプのコルトレーンとも言われる圧巻の演奏を楽しめる。もちろん、その音色による物珍しさも耳目を集める要因なわけだが、とにかく冒頭からやたら熱い演奏が繰り広げられている。
アルバムは全6曲、A面はバグパイプ、B面はフルート、ソプラノ、テナーを操る。とにかくコンガを編成に加えてラテン・ジャズを展開するA面だろう。細かなメロディも厭わず軽やかに進んでいくところにこそ演奏の聴き所があり、冒頭の「Sunny」から飛ばしまくっている。続くアルバムタイトル曲(JFKに捧げられている)での、哀愁を帯びたテーマをじっくり聴かせるその演奏は、ジャズにバグパイプという物珍しさだけで好奇な態度をとる向きを正す迫力を充分備えている。音が途切れることがなく、それでいてドローンとはまた一味違う趣を持っており、全面に塗りつぶすようにベターっと広がる音の特異性は、他では得られぬ独特な風情がある。楽器を変えてのB面は、オーソドックスな編成になってしまうため、その特異性は薄れてしまうが、テナーで演奏される「About Trane」は、「Greensleeves」や「My Favorite Things」のメロディを挟み込むというらしい趣向、コルトレーンからの影響をまざまざと見せつける。
後にサン・ラやソニー・ロリンズとも共演、活動範囲は広く、異端にして多才ぶりを発揮したが、2006年に死去。
Sunny
A Tribute To Courage