DUSKO GOYKOVICH/After Hours | noramemo
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DUSKO GOYKOVICH
After Hours (1971)

 旧ユーゴ生まれのトランペット奏者ダスコ・ゴイコヴィッチの1971年作、ワン・ホーン編成での、勢いの良さで迫る快作。ジャケットのものはドイツのEnjaから出されたものだが、元々はスペインのレーベル、Ensayoから『Ten To Two Blues』のタイトルでリリースされたもの。タイトルと曲順を変更したかたちで、Enjaから再リリースされた。
 『Ten To Two Blues』とのタイトルでリリースされたものに関しては、聴いたことがないので何も言えないけれど、断然人気が高いのはこちらで、「Last Minute Blues」がアルバム1曲目に構えているといないとでは感想は変わってくる。この演奏の一体感には鬼気迫るものがある。イントロの、テテ・モントリューのピアノから徐々に緊張が高まっていく様子から、腹に響いてくるベース、それにバシバシとシンバルで応酬してくるドラムが一体となり、目まぐるしく展開していく。バックが激情に駆られているような演奏が続く中を、ダスコはひとり高揚を抑えるように冷静にフレーズを繋いでいくのだが、その対比の妙が聴きどころ。素晴らしくドライヴしている演奏、聴いていると落ち着かずに騒ぐので、本当に楽しい。他の曲で顕著に出るように、丸みを帯びた滑らかなフレージングからマイルス・デイヴィスへの憧憬が色濃いのだが、実際50年代のマイルスのような演奏も多く、ミュートで聴かせる郷愁的なメロディが映えるアルバム中盤も素晴らしく、テンポの早い演奏よりも、むしろ中間的なスピードで、ほころびを見せない滞りの無さを聴かせる演奏が彼の本領なんだろう、シンプルでメロディを活かしたそうしたソロの甘美な雰囲気がアルバムの出来を決定づけている。それによって明らかにバック陣も色づいているのがわかる。
 1曲目の攻めたてる展開から、ゆったりと落ち着いていく終盤まで、尻すぼみに終わることなく一気に聴かせる。スウィングする、というのはこういうことかと、初聴時の感動そのまま、いつ聴いても大好きな1枚。

動画見当たらず。