突然の訪問者 | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

ふと窓の外を見ると、お一人の保護者の方が、塾の前の掲示板に見入っていた。
お声掛けをすると、高校3年生のお母さん。

幸いにも時間があったので、早速中に入っていただいた。



「うちの子供は取り立てて個性がないので、総合型は難しいですか」

とてもよくある質問である。

そもそも、誤解をされているのは、個性とは甲子園に出場するとか、将棋がすごいとか、英検が1級だとかということばかりではない。

とても優しいだとか、プレミアリーグのサッカーを見るのが大好きだとか、韓国アイドルのオタクをやってるとか、これは全て個性である。

「そんなの大学入試に使えないですよね」

そう思っているのが、さらに大きな誤解である。

大切な事はその個性を尊重して、いかに学問と「接続」するかであろう。
そこは、指導者が高校生と徹底した「対話」をすることによって見いだすことができる。
もちろんそれは志望理由書に書くのだが、文通形式の「添削」では、個性を輝かせることもできなければ、思考力を伸ばすこともできなければ、そもそも総合型選抜の指導として全く不適当である。
同時にこれがわからない人は、総合型選抜の指導をしてはならないと私は思う。

そんなことで、総合型選抜に関する誤解を多少は解消できたのではないだろうか。

「総合型選抜なんて、勉強から逃げてるだけだ」
「まずは一般入試を目指せ」

こんなことしか言わない人には、残念ながら総合型選抜の面白さや素晴らしさは永遠に理解できない。

同時に、なぜ総合型選抜を大学が実施しているのか、その意義を理解しようと言う意欲すらないと言えるだろう。

それでは、未来志向の教育には携われないと私は思う。

そんなことで、アポなしの保護者の方の訪問はとても楽しい時間だった。
またの訪問を心から楽しみにしている。