マイクロアグレッション | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

「男の子らしくもっと声を出せ!」

春休みの学校グランド。
サッカーのクラブチーム練習中の男性コーチの声。
コーチは一生懸命指導していたが、「〜らしく」はあまりよろしくない。

こんなことを書くのは、高校1年生の女子生徒からこんな話を聞いたからだ。
彼女が通う学校は男性用のスカートは無いけど、女性用のスラックスがある。
彼女は入学からずっとスラックスだ。



ある日、ある男性の先生から笑顔で声をかけられた。

「女子なのにスラックスがよく似合うよね」

感情とは複雑で、彼女はとても傷ついたそうだ。
このような言葉をマイクロアグレッション(自覚なき差別)と言う。

日本人は気遣いに長けている。
ただ、ジェンダー問題や、年功序列的な場面では、しばしばその気遣いが失われる。

昨年の日本のジェンダーギャップ指数は年々低下し、史上最悪の125位。
それはこうした小さな一言の積み重ねが、大きなマイクロアグレッション社会を作ってしまうのかもしれない。

誰しも悪気なくマイクロアグレッションをしてしまう。だからこそ、それを学ぶ教育や社会環境が必要だ。
声を出すこと、スラックスを履くことに性別は関係ない。