ビッグモーターだけかな | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

ビックモーターの企業のあり方が大きな社会問題となっている。
1つの事例で言えば、

「販売するときにドアを新品にしました」
「オイル交換をしました」
「タイヤは新品をつけておきました」

などと消費者に伝えながら、中古のドアをつけたりオイル交換をしなかったり、タイヤも古いタイヤをつけ変えただけだったなんていうことがあったらしい。

なんと酷いことだろうか。



車を買うのはとても夢のあることである。それが新車であろうと中古車であろうと自分の車を手に入れる事は、あの高揚感は何回車を買っても変わらず来るものだ。

数年前にヨーロッパ車を買ったことがある。
中古車で買った。
いわゆるとてもおしゃれな車で、昔から見た目に憧れていた車だったのでとてもうれしかった。
それでも故障のリスクは大きいんじゃないかと考えて、正規販売店で購入した。

契約時にこんなふうに約束した。

「バッテリーは新品に交換します」

なるほど中古車だとバッテリーも弱くなってる可能性は高いからありがたいことだなと思った。

そして乗り始めて、3ヶ月、エンジンがかからなくなった。
セルモーターを回してもうんともすんとも言わないのである。

早速電話をして正規販売店に来てもらい運び、見てもらうことになったのだが、担当者はこのように言った。

「バッテリーの経年劣化ですね」

ちょっと待ってよと思う。
だから聞いた。

「バッテリーって3ヶ月で経年劣化するんですか?」

すると何を打ち合わせたかったのか事務所の奥に入っていき、こそこそと何か相談してしばらくして出てきた。

「バッテリーは新品と交換させていただきます」

そんなこと言われても、やはりちょっと待ってよって話になる。

3ヶ月前に同じことを言われて、しかもそのバッテリーは経年劣化したと言われたのである。
もちろん、その正規販売店でずっと車を買う事はないし、聞かれれば正規販売店は絶対にダメだと断言できる。
ビックモーターとはこんな感じだったのではないだろうか。

売り上げのためにこうして誤魔化しをすることは簡単なのかもしれない。

でもきっと営業マンの人たちは、

お客さんからありがとうと言われたり、
お客さんの嬉しそうな笑顔見ることが、

喜びだったはずである。

ビッグモーターも、私のヨーロッパ車を買った正式な販売店も、そこで働く人たちはみんなそんな思いで働いていたのではないだろうか。

そして、何よりも、消費者たちを騙してしまっても、うしろめたくなくなってしまってる、そんな人間になってしまったのだろうか。

初心忘れるべからずである。

教員だって、教員になろうと思った最初の時は、もっと志が高かった人もたくさんいるのと同じではないだろうか?
でも、ずっと仕事をしてるうちに、だんだんといい加減になったり、情熱を失ってしまったり、形だけやってるになっていないだろうか。

無論ビッグモーターと比較をしているわけではない。
どの仕事でも、みんな同じで、その気持ちを忘れてしまったら、それは誇りを失った事と一緒で、とても情けないことになってしまう。

ビッグモーターの社員さん達が、今、そのことに心を痛めていてほしいと思うと同時に、車を買うことの夢を壊された人たちのことを真摯に考えてほしいと切に願う。