今年の小論文入試において、AIが大きなテーマになる事は間違いないであろう。
5月のサミットにおいても、chatGPTがテーマになっているほどだ。
高校生にとっては、AIの様々なやり方に対して関心を持つ事はとても重要なことだ。
それは入試に関してだけではなく、これから新しい時代を生きていくのに、とっても大切なことではないだろうか。
その関心の領域は「なくなる仕事」といったつまらないものではない。
テクノロジーの進化によって「なくなる仕事」があるのは歴史の必然であり、AIだけによって生じる事象ではない。
それ以上に大切な事は、私たちの生き方や、社会の構造、さらには思考のあり方にどのような影響与えるかを考えることではないだろうか。
AIと人間との大きな違いは個性の有無であろう。
個性を持つ人間が、個性のないAIと共生していく社会とはどのようなものか、また、その社会の中で同じ医師であっても、どのようにそのあり方が変化をしていくのか考えることが大切だ。
医師という仕事が「なくなる仕事」であるかどうかというのは、正直言うと大した事ではない。
医師の資質のなかで、より個性重視されるようになり、その個性をどのように育てていくかと言うことが、個々の大きな課題となる。
今日は、高校3年生の受験生たちと、このようなテーマで120分語り合い、それが小論文にどのような形になるかについての話をした。
対症療法ではなく、見たままの描写でもなく、より深い本質をどう見いだすか、本当に難しい問題だ。
むろん、二項対立でなどでは絶対に対処できないし、添削指導で何とかなるような問題でもない。
同時に、どのような考えも否定されるものではなく、支持を得られるかは「正解」や「模倣」によって決まるものではない。
こうした一つ一つの対話が思考を深めてゆき、最終的には小論文につながっていく。
型やコツではない、本当の思考の世界だ。
だから、生徒は誰も眠くならないし、たくさんメモを取るし、120分があっという間だ。
こうやって圧倒的に勝てる小論文になるだけではなく、未来につながる思考力を身に付けていくのである。
まさに良き時間である。