この3か月間、受験生は日本史に取り組みましたか? | これでも元私立高校教員

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30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

学校の休校が終わろうとしている。

思い起こせば、休校が決まった時はまだ冬で、冬服はもちろん、毎日、マフラーの日々だった。

しかし、学校が再開されれば、もう夏服!

 

服装の変化でも、この3か月の長さの重みを感じる。

 

今年の大学入試は、誰も経験したことのないものとなる。

すでに「夏休み」は事実上、この3か月でおわり、学習の遅れ、受験生間の格差は、過去の受験生が経験したことがないほどの状態になっている。

 

多くの受験生や保護者、先生は、まっさきに英語や数学を心配するが、日本史はそれ以上に深刻な状況にある。

英語・数学は多少なりとも塾に通たったり、自分で取り組んだかもしれない。

何より、2年生の終わりの段階で、英語・数学はその範囲を終えているケースが多いが、日本史は全範囲など終わっているはずがない。

 

さらには、なぜか、

 

「日本史は後から何とでもなる」

 

という不思議な冗談が存在し、最後に日本史は頑張れば高得点になると思っている、もしくは「無くなってしまった夏休み」にやればいいと思われている。

今年に限って言えば、恐ろしいほどの能天気だ。

 

むろん、それは現実ではない。

日本史の最後の授業は2月末、そこからまったく授業もなく、進度の消化もされていない。

当然、学校再開後は、日本史の授業は「超高速」となり、文化などは「飛ばす」可能性も高い。範囲が終わらない、終わっても直前、そんな予想も容易い。

むろん、もともと寝てしまうような授業が多いのも、残念ながら日本史の特色でもある。

つまり、これからも、日本史に関してはマイナス要因が目白押しだ。

むろん、文化は入試上、重要であり、しかも本来は点数がとりやすい。

 

こうしたマイナスだらけの状況が、日本史、さらには世界史に起こっている。

休校中のプリント配布、スタートしたばかりのオンラインで類で補えるなら、そもそも毎年、そうすればよい。

 

これは脅しではなく、現実だ。

 

「とにかく覚えるしかない」

 

こんな言葉は、アドバイスでも指導でもなく、無責任な言葉だ。

プロの学習指導者が、言っていい言葉ではない。

よくいって素人だ。

 

 

受験生の皆さん

英語、数学はもちろんだが、それらの何倍も、

 

「受験日本史の危機」

 

を真剣に考えて欲しい。

正直、普通に学校に戻って、例年通りに取り返すことはなく、そもそもこの3か月間、受験生の皆さんは、

 

「日本史に必死に取り組みましたか?」

 

この質問に、Yesと答えることができない人は、今年の受験で大きな危機を迎える。

 

そんな休校期間が、終わろうとしている。