渋谷区役所公会堂

無償で建て替えるのと引き換えに、

その敷地内において、渋谷区と

70年の定期借契約で建てられた

パークコート渋谷ザ・タワー

 

交通利便性商業利便性、そして

代々木公園を見下ろす眺望

数あるタワマンの中でも

トップクラスだろう。

立地は、渋谷区役所の北側で、

東側の渋谷公会堂

西側の渋谷税務署

挟まれている。

この場所の過去を遡ってみる。

 

<現在>地理院地図・電子国土WEBより(以下同様)

赤丸パークコート青丸渋谷区役所

 

<1974~78年>

下側の水色の旗旧渋谷区役所(以下同様)

その上が渋谷公会堂

パークコートは、ほぼ渋谷公会堂の跡地に

建てられていることがわかる。

 

右上は、1964年の東京オリンピックに

使用された代々木体育館

真ん中にNHK放送センター

 

<1961~68年>

上の広々とした住宅群は、

占領国であるアメリカ軍の

駐留住宅施設「ワシントンハイツ」の一部。

既に返還が進んでいて、

右上は、オリンピックに向けて

造成工事が行われている。

 

真ん中の更地は、NHK放送センター

これから着工というところ。

 

ちなみに、この頃、ワシントンハイツに住む

青年が、近所に住む少年たちを集めて

少年野球のコーチをしていた。

チーム名は「ジャニーズ少年野球団

青年は、後のジャニー喜多川氏である。

 

なお、渋谷区役所がこの地に移ったのは

1965年であり、まだ建てられていない。

 

<1945~50年>

終戦直後。

兵舎やその家族用の居住宿舎が

立ち並ぶワシントンハイツ

まさに幅を利かせている。

周囲は塀で覆われ、日本人の立ち入りは

禁止されていたという。

 

<1936~42年>

戦時中。

真ん中から上は代々木練兵場

陸軍の訓練場である。

そして、渋谷区役所のあった場所には

衛戍監獄陸軍刑務所が建っている。

 

その名残りは今でも残る。

パークコート渋谷税務署側から

見ると、税務署の建物横に

慰霊像が建っているのがわかる。

2・26事件を首謀した青年将校が

陸軍刑務所内の刑場で

処刑された場所とのこと。

近未来的なタワマンと公官庁、

代々木公園の緑が印象的なエリアで、

明らかに違和感があるが、

改めて、

この地は陸軍刑務所の跡地であり、

代々木公園が代々木練兵場

あったことを想起させられる。

 

なお当時の陸軍刑務所内刑場

パークコートの敷地は、

重なっていないようだ。

赤枠が刑場。青枠は当時の正門と通用門を

入った辺りで、現在パークコートが建っている場所

 

心理的瑕疵としては、

そんな刑場もあった陸軍刑務所

跡地であることをどう思うかだが

 

・70年以上経過していること

・当時の建物が既に壊されていること

(しかも、間に別の建物が長年建っていた)

都心で人の往来が激しい場所であること

 

などを鑑みると

心理的瑕疵が裁判などで

認められる可能性は、

まずないだろう。

 

なにより、2~3階建ての

低層物件ならともかく、

パークコート渋谷ザ・タワー

39階建ての高層マンション。

かつて地の上で起きたことを

上層階に住む人が

気にするとも思えない。

 

この物件の人気ぶり

(中古販売価格など)が

その証左だろう。

 

心理的瑕疵は、

その発生場所から水平に離れて

薄まるだけでなく、

に離れても薄まるようだ。

 

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【訳ありの水曜日】心理的瑕疵⑤