こまどりのように鳴く勇気 | 夢の扉をひらく鍵

夢の扉をひらく鍵

小説家志望者(私)のなんてことない日々を心のままに綴った日記です。


寺地はるなさんの新刊

『こまどりたちが歌うなら』を読了しました。

〈あらすじ〉
親戚が営む小さな製菓会社に転職をすることになった茉子。
そこには古いルールや暗黙の了解、パワハラまがいなこともあり、おかしいことはおかしいと声をあげるが…

茉子と吉成製菓の人々の、甘くてしょっぱい人生の物語。

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771864-5


読んだ後、とても晴れやかな気持ちになりました。

なんだか、春の暖かいひだまりの中で

よし、やるぞ!と気合いが入るような。


茉子が転職した吉成製菓にも様々な立場や

価値観の人たちがいて、

私が会社員だった頃のモヤモヤした日々を思い出した。


茉子の日常に起こる出来事にきっと多くの人が

わ、わかる!えーん

あの時の感情が、言葉になってるー!

と感じるんじゃないかな。


寺地さんの作品を読んでいると毎回感じることがある。

それは、

寺地さんは表現しづらい繊細な、

言葉にならないモヤモヤをいつも言語化している

ということ。


なんで分かってくれるの⁈

私のこと見ててくれるのー⁈となる。

寺地さんの言葉を目にして初めて、

あの時私が感じた気持ちはこれだったんだと気づくことすらある。

ただの怒りや悲しみじゃなかった。

もっと複雑だったんだと、あの時の気持ちが浄化される。


好きな場面が沢山ある中での1番は、

茉子と同じマンションに住む幼馴染の満智花が

引越しすると告げる場面。

それまで自分がなにが好きで、

なにに興味を持っているのか、

なにがしたかったのかわからなかった満智花が

茉子たちと過ごし「どれがいい?」と

訊かれるたびに自分がどんな人間なのか、

どんな人間になりたいのか、

ひとつずつ発見していく。


最初は自分に自信がなかった満智花が、

こまどり庵(吉成製菓の店舗)で働くことで

菓子に興味を持ち勉強し、前に進んでいく様子に

とても励まされた。


様々な立場の人が出てくるので、色んな世代の人

が読んでいて楽しめて、これから人とどう接するのかを考えさせられる作品だと思う。


私もこまどりのように「ここにいる」ってしっかり

確かめながら生きていこう。

たとえ小さくても。鳴くことに意味があるから。