虹が出ていた。

 

 

 

雲と雲を繋ぐ架け橋のように、わずかに生まれた隙間に見えた虹。

 

 

『上を向きなさい。』

 

 

と、言われている気がした。

 

 

 

人は、足元の石ころを見つけるようにできている。

 

石ころという名の『欠点』を。

 

『不安』という石ころもある。

 

 

 

 

『欠点』や『不安』など、ネガティブな事柄に目が向きやすいのは、人間の進化の過程で、慎重な遺伝子を持つ個体が生き残りやすかったからではあるけど、

 

ありとあらゆる情報や刺激があふれた現代社会では、そういう慎重な遺伝子を持ったわたしたちは、常に足元の石ころを探している。

 

ときには蹴っ飛ばしたり、見ぬふりをして通り過ぎたりもするけど、つまずいたり、触れても大丈夫なものか思案したり。

 

石ころの存在ばかりを気にして、前を向くのを忘れてしまっている。

 

下ばかりを見ていたら、虹の存在には気づかなかっただろう。

 

足元の石に気を払うことも大切だ。せっかく慎重な遺伝子を先祖から受け継いだのだから、うまく使ったほうがいい。

 

 

 

 

そして、それと同じくらい、少し先の目標や自分の未来の姿を意識することも大切なんだと思う。

 

七色にかがやく虹が、そう教えてくれているような気がした。

 

梅雨も半ばに差し掛かった。

 

ぐずぐずした空模様。

 

見上げるのは、洗濯物を干してもいいか大丈夫かどうかを見極めるときくらいだった。

 

たまには、空を見上げてみるもいい。